樹木由来成分「クロモジ」がインフルを予防か

[樹木由来成分「クロモジ」がインフルを予防か]

(あなたの健康百科   2018年09月18日)


日本では毎年、季節性インフルエンザが流行し、1,500万人程度が罹患して
いるという。
感染の予防にはワクチンの接種が推奨されているが、ウイルスは毎年少しずつ
変化しているため、完璧に予防するのは難しい。

そうした中、愛媛大学医学部附属病院抗加齢・予防医療センターの伊賀瀬道也
センター長らが、人を対象に試験を実施。
クロモジという樹木に含まれる抗ウイルス作用を持つ成分が、インフル
エンザの感染予防に有効である可能性を示した。

詳細は、医学誌「薬理と治療」(2018; 46: 1369-1373)に掲載されている。



<クロモジエキス摂取群で罹患率が低下>
クロモジは日本の山地に自生するクスノキ科の落葉低木で、樹皮に黒い斑点が
ある。
枝には甘い香りがあり、皮付きのまま削り高級楊枝として利用される。
また、蒸留によって採取される精油も有名だ。

インフルエンザウイルスは、主に鼻や喉から感染し、細胞内へ素早く侵入して
増殖するが、クロモジエキスに含まれるポリフェノール「プロアント
シアニジン」には、ウイルスへの感染後にその増殖を抑える作用のある
ことが、これまでの研究で明らかにされている。
また、ウイルスの表面に直接接触して膜を破壊し、感染力を失わせることも
報告されている。

今回、研究グループは、クロモジ成分のインフルエンザ予防効果を人で検討
するため、愛媛大学医学部附属病院に勤務する看護師など合計134人を対象に
比較試験を実施した。
対象者を、クロモジエキスを67mg配合したあめをなめる67人と、非配合の
あめの67人に分け、1日3回、12週間にわたり毎日摂取してもらった。
この対象者は全員、インフルエンザワクチンを接種していた。

その結果、インフルエンザにかかった人は、クロモジエキス配合群で2人
(3%)、非配合群では9人(13%)と、クロモジエキス配合群でインフル
エンザの罹患率が明らかに低かった。

対象となったのは厳しい体調管理が求められる看護師などであり、全員が
ワクチンを接種していたが、数人がインフルエンザに罹患した。

しかし、クロモジエキス配合のあめをなめた集団では、非配合の集団に比べ
明らかに罹患率が低かった。

この結果について、研究グループは「あめでの摂取が奏功した可能性がある」
と分析。
その理由を「あめをなめている数分間、クロモジエキスに含まれるプロアント
シアニジンが咽頭部にとどまることができるからだ」と説明した。

さらに「インフルエンザ予防策の1つとして、クロモジの活用が考えられる」
と期待を寄せた。



https://kenko100.jp/articles/180918004655/#gsc.tab=0




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