|
当院では5回以上来院の方を対象に「8020シミュレーション(β版)」を始めました。 「5回以上来院」の意味合いは、各項目の評価が難しく時間がかかるためです。
<8020運動とは> 満80歳で20本以上の歯を残そうとする運動のこと。 厚生労働省や日本歯科医師会により推進されている。 20本以上の歯を持つ高齢者はそれ未満の人に比べ、活動的で、寝たきりとなることも 少ないなど多くの報告がされている。 2005年に行われた第9回歯科疾患実態調査において、80歳での残存歯数は約10本で あった。 1999年に行われた第8回歯科疾患実態調査時点の約8本から2本増加している。 口腔衛生への関心の高まりを反映し、残存歯数、20本以上の残存歯を持つ者の割合は 増加してきている。 (Wikipedia参照)
<当院における8020運動の意味合い> 当院における8020運動の意味合い・・・それは何と言っても「ピンピンコロリ!」です。 そこそこ長生きで、尚且つ寿命の直前まで元気であることが理想ではないでしょうか。 これを当院では「健康そこそこ長寿」と呼んでいます。
実は意外なことに、若い時に「総入れ歯」になってしまった人の中に、「健康そこそこ長寿」が 少なくないのです。 「ちゃんと噛める入れ歯」を、いつも使っていることが条件ではあります。 ちゃんと噛むということは、脳血流量が増大し、脳機能が活性化するのに重要なことです。 早くに総入れ歯なってしまった人は、当然「むし歯」にも「歯周病」にもならず、 「感染の機会」が少ないことが「健康そこそこ長寿」の一因になっていると思われます。
この世の病気は大きく分ければ、「感染症」か「遺伝子病」かそのミックスかです。 「感染症」をなるべく減らす、遺伝子を変異を起こす環境的要因を可能な限り減らすことが 健康そこそこ長寿への道だと思います。
確かに口腔衛生への関心が年々高ってきていて、残存指数が増加しています。 しかし、残存指数が増加すると感染の機会が増えます。 治療途中の歯が25本残っていても、歯周病未治療でグラグラの歯が20本残っていても、 感染の危険が大きいだけで、「真の8020」ではありません。 この矛盾を解決するには、「感染していない歯を残す」ことが重要なのです。
<8020シミュレーション> 勤務医時代から含めて20年前後お付き合いのある患者さんがいます。 当時10歳だった子どもが30歳になっているケースもありますし、 当時60歳だった人が80歳でお元気というケースもあります。
20年間定期健診に通い1本も歯を失っていない後期高齢者の方がいらっしゃいます。 (当時27本→現在も27本) 数年ごとに痛みがひどい時だけ来院し、治療途中の歯だけが増えている方も いらっしゃいます。
これら様々なケースを分析し、歯を失う因子を探し出し、その危険度を予測して います。
例えば、小さなむし歯ができて「コンポジットレジン(CR)」で治療終了しました。 その危険度を「1」とすれば、「交叉咬合」という歯列不正の危険度は「500」だと 予想しています。 (分析途中ですので、あくまでも現時点での予想です) 残念ながら交叉咬合の患者さんで「8020」を達成した人、あるいは達成できそうな人を 診たことがありません。 それどころか、「8010」を達成できそうな人も診たことがありません。 ですから、「交叉咬合」の子どもはなるべく早期に治療を開始することをお勧め しています。 「交叉咬合」は、通常保護者は気がつきませんし、3歳児健診・幼稚園の健診・ 学校健診でチェックされないことも多々あるので、要注意です。
<八重歯のお婆ちゃんは稀> 日本歯科医師会でどのような歯並びや噛み合わせの人が「8020」を達成したのか 調査したところ、正常な歯並びや噛み合わせの人が多いという当たり前の結果が 出ました。 せいぜい、少しだけ出っ歯(上顎前突)や切端咬合(少しだけ反対咬合)までが 8020達成の可能性がある許容範囲となりました。 著しい「上顎前突」や著しい「受け口」、著しい「凸凹叢生の人」が「8020」を 達成するのは稀です。 これらの人は、さらに将来「入れ歯」が必要になった時に、入れ歯が安定せずに 難症例となる確立も高くなります。 歯磨きの徹底により「八重歯のお婆ちゃん」もチラホラ見かけるようになりましたが、 それでもはやり稀な存在です。 八重歯の周囲は歯磨きがしにくいので、その部分がむし歯や歯周病になりやすいのも 理由のひとつです。 しかし、それ以前の根本原因として、八重歯の原因になった口腔機能低下が 問題なのです。
<「今のところ問題ないもん!」は危険> 残存歯の全国平均は、 30歳:28.6本 40歳:27.5本 (マイナス1.1本) 50歳:24.8本 (マイナス2.7本) 60歳:21.3本 (マイナス3.5本) 70歳:15.2本 (マイナス6.1本) 80歳:10.2本 (マイナス5.0本) 90歳: 4.9本 (マイナス5.3本)
永久歯の本数は親知らずを含めて32本、親知らずを除くと28本です。 親知らずが4本ちゃんと生えていて噛むのに使っている人もいれば、 元々全く親知らずの痕跡がない人もいます。 平均すれば親知らずが正常に生えているのは1〜2本でしょうから、 30歳の28.6本という数字になるわけです。
上記の数字は追跡調査ではなくて、ある年の平均値です。 世代間の違いを内在しています。 今の若者は口腔衛生への関心が高いので、高齢者になった時に上記の数値よりも より多くの歯が残っている可能性があります。 一方、今の若者は歯並びが悪くなっているので、高齢者になった時に 上記の数値よりも少ない歯しか残らない危険性も含んでいます。
そういう問題を含んでいますが、大事なことは「40歳で28本あるから大丈夫」 と安心できないということです。 歯の喪失は、40歳から加速し、60歳から急加速するからです。
脳卒中や心臓病のリスクが40歳から高くなるのとも無関係ではないでしょう。 「炎症性反応」や睡眠時無呼吸がリスクを高くするのです。
<各項目・各数値の解説> 最初の方の項目、 ・処置済みの歯の危険度 ・未処置の歯の危険度 ・歯周病の危険度 は、その危険度をいくつに設定するかは別にして、研修医でも健診可能です。 宇都宮市で実施している節目健診、40歳・50歳・60歳での歯科総合健診でも 簡略版を行っています。 しかし、むし歯や歯周病の背景となっている機能的問題を理解し評価できるかが 重要なのです。
|
|
 |
 |
 |
歯科予防・口腔ケア
サポーティングセラピー
定期健診メインテナンス
ヘルスプロモーション
歯石除去・クリーニング