加熱式たばこ、臭いなくても受動喫煙のリスク 禁煙専門医が指摘

[加熱式たばこ、臭いなくても受動喫煙のリスク 禁煙専門医が指摘]

(福井新聞ONLINE  2018年5月31日)


紙巻きたばこから新型の「加熱式たばこ」に切り替える人が増えている。

加熱式は燃焼による煙が出ないため、周囲への影響や健康リスクが少ないと
いうイメージがある中、福井県内の禁煙専門医は「紙巻きと同程度の
ニコチンを含んでいるものがあるほか、国の調査で発がん性物質も確認
されている」と有害性を指摘する。

加熱式たばこは、電気式の専用器具で葉タバコに熱を加えることで発生させた
蒸気を吸う。
国内では、フィリップモリスの「アイコス」やブリティッシュ・アメリカン・
タバコの「グロー」など3種類が販売されている。
灰や煙が出ず、紙巻きたばこに比べて臭いが少ないのが特徴。

たばこ各社は健康への影響が小さいとしており、禁煙エリアでも加熱式
たばこの喫煙を認める店舗もある。


一方で、日本禁煙学会や日本呼吸器学会所属の医師の中では健康への影響を
懸念する声が強い。

厚生労働省などの調査で、加熱式の喫煙者が直接肺に吸い込む蒸気には、
ホルムアルデヒドなどの発がん性物質やニコチン、タールなどの有害物質が
含まれていることが分かった。

福井県済生会病院(福井市)で禁煙外来・禁煙教室を担う小林弘明・呼吸器
外科顧問は「ニコチンは血管を収縮させ、心筋梗塞や脳梗塞などの原因に
なる。加熱式の1本あたりの量は少なくなっているとしても、ニコチン
依存症の喫煙者は無意識のうちにニコチンが一定の血中濃度になるまで何度も
吸煙することになる」と紙巻きと同様の有害性があると説く。

また、加熱式の喫煙者の口から出るPM2・5などの有害物質を含む蒸気は、
すぐに見えなくなるが、紙巻きの煙と同じように周囲に広がる。
喫煙者のそばにいた人の4割がのどの痛みや気分不良を覚えたというデータもある。

「煙が見えにくく臭いもわずかなので、受動喫煙のリスクの回避が困難な点も
問題」と小林顧問は指摘する。


5月31日は「世界禁煙デー」。

政府が今国会に提出している健康増進法改正案では、加熱式たばこも規制
対象になっている。

小林顧問は「健康への影響は長期間で現れるものだが、しっかり検証される
まで野放しにはできない。禁煙以外に個人レベルで肺がんのリスクを下げる
方法はない。論理的に危険性のあるものは控えるべき」と訴えている。



https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180531-00010003-fukui-l18





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