数滴でも入院の恐れ:子供の目薬誤飲に注意

[数滴でも入院の恐れ、子供の目薬誤飲に注意 米当局]

(あなたの健康百科  2012年10月29日)


米食品医薬品局(FDA)は10月25日、市販の目薬や点鼻薬の誤飲による、
子供の重篤な事故(有害事象)の報告があったとして安全性情報を発表した。

これらの薬剤には目や鼻の充血などを取る血管収縮作が含まれるものがある。
これらの成分を誤飲することによって吐き気や嗜眠(しみん=強い刺激を
与えないと覚醒しない意識障害)、頻脈といった症状が起こることがあり、
中には入院による治療を受けた例も報告されている。
子供では数滴でもこうした症状が起こるという。



<死亡例ゼロも半数以上が入院>
今回安全性情報の対象となっている目薬や点鼻薬には、テトラヒドロゾリンや
オキシメタゾリン、ナファゾリン、キシロメタゾリンといった血管収縮作用の
あるイミダゾリン誘導体が配合されている。

これらは日本の市販薬にも配合されていることがある成分だ。

外用による全身への影響はほとんどないが、口から摂取すると高い割合で
体内に吸収され、全身的な作用を引き起こすことが知られている。

FDAによると、誤飲による子供の有害事象は1985年からこれまでに96件
報告があった。
年齢は1~5歳、死亡例はゼロだが、53人が吐き気や嘔吐、嗜眠、頻脈や
血圧異常、流涎(よだれ)、昏睡などで入院していたことが分かったという。

FDAの担当官は「こうした事例は実際、もっと多く起こっているのだろうが、
過少報告になりがち」とコメントしている。

子供では、1~2ミリリットル程度のごくわずかな薬剤でもこうした症状が
起こり得ることから、誤飲を避けるため子供の手の届かない場所に薬剤を保管
するよう、注意を呼び掛けている。

また、これらの製品を誤飲した場合には中毒情報センターに電話し、救急
外来を受診するよう求めている。



<チャイルドレジスタントパッケージ適用を>
さらに誤飲の防止策として、FDAは消費者向けレポートで以下のような
アドバイスを行っている。

 1. 医薬品は子供の手の届く、あるいは見える範囲よりもかなり高く
     安全な場所に保管すること

 2. 医薬品やビタミン剤はキッチンカウンターや病気で寝ている子供の
     枕元などに決して置かないこと

 3. 医薬品容器にチャイルドレジスタントパッケージ(いたずら防止の
     工夫がされた容器)がない場合、使用のたびにきちんとふたが
     閉まっているかどうかを確認すること

 4. ベビーシッターや客が訪問してきた際には、彼らの財布やバッグ、
     コートなどに医薬品を隠した上で子供の見えないところに
     しまってもらう

 5. 子供は大人の真似をしたがるものなので、子供の前で医薬品を使わない
     ようにすること


一方、保護者の注意だけでは子供の誤飲事故の減少は難しいとの指摘もある。
今年初めには、米国消費者製品安全委員会が一定量以上のイミダゾリン
誘導体を含む目薬や点鼻薬にもチャイルドレジスタントパッケージの適用を
求める規定案を発表したばかり。

米国などではすでに誤飲事故の多い風邪薬などに対し、チャイルド
レジスタントパッケージとしてプレスアンドターン方式(押しながら回して
開ける方式)のキャップの使用が一般化している。



http://kenko100.jp/news/2012/10/29/01




No tags for this post.
カテゴリー: し小児歯科,  小児科(医科), のど(咽喉),  嚥下・嚥下障害, や薬剤・薬学 パーマリンク