テロメア

[テロメア]

(出典:Wikipedia)


テロメアは特徴的な繰り返し配列をもつDNAと、様々なタンパク質
からなる構造である。
真核生物の染色体は直線状であり、DNAの末端が存在する。
DNA末端は細胞内にあるDNA分解酵素やDNA修復機構の標的と
なるが、テロメアのDNA末端は正常なものであり、分解や修復を
受けてはならない。
そのためテロメアはその特異な構造により、DNAの分解や修復から
染色体を保護し、物理的および遺伝的な安定性を保つ働きをする。
また、テロメアは細胞分裂における染色体の正常な分配に必要と
される。
テロメアを欠いた染色体は不安定になり、分解や末端どうしの
異常な融合がおこる。
このような染色体の不安定化は細胞死や発ガンの原因となる。

テロメアの伸長は「テロメラーゼ」と呼ばれる酵素によって
行われる。
この酵素はヒトの体細胞では発現していないか、弱い活性しか
もたない。

そのため、ヒトの体細胞を取り出して培養すると、細胞分裂の
たびにテロメアが短くなる。
テロメアが一定長より短くなると、細胞は不可逆的に増殖を止め、
細胞老化と呼ばれる状態になる。
細胞老化は細胞分裂を止めることで、テロメア欠失による染色体の
不安定化を阻止し、発ガンなどから細胞を守る働きがあると
考えられている。


また老化した動物やクローン羊ドリーではテロメアが短かった
ことが報告されており、テロメア短縮による細胞の老化が、個体の
老化の原因となることが示唆されているが、個体老化とテロメア
短縮による細胞老化との関連性は現段階では明らかではない。





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