ぎっくり腰の新常識は「動かして治す」

[ぎっくり腰の新常識は「動かして治す」]

(家庭の医学  2019年4月26日)

<安静にしすぎないのがコツ>
突然、激しい痛みにおそわれるぎっくり腰。
身動きできずに不便な思いを経験した人も多いのでは?
ぎっくり腰になったら、安静第一と言われてきましたが、最近の研究では
むしろ早めに動かしたほうがよいことがわかってきました。
明確な原因を突き止めることは難しいとも言われています。

ぎっくり腰は医学用語では「急性腰痛」に含まれ、その急激な痛みは、
西洋では「魔女の一撃」と言われるほど。
多くの場合、重たいものを悪い姿勢で持ち上げたり、腰に負担がかかる姿勢で
長時間すごしたりしたことがきっかけとなって起こります。

これまで、ぎっくり腰になったらとにかく安静にするしかないと言われて
いましたが、最近、動かない状態で長くいると背中の筋肉が衰えてしまい、
かえって回復が遅くなることがわかってきました。

とはいえ、発症直後は体の向きを変えるのも困難なほど痛いので、腰に負担の
かからない姿勢をとるようにします。
仰向けにまっすぐに寝る姿勢は腰に負担がかかるので、膝の下に枕などを
入れて足を軽く曲げて寝るか、横向きに寝ます。

発症後2~3日たって痛みがやわらいできたら、多少痛みが残っていても、
少しずつ動かすことが重要です。
無理は禁物ですが、軽いストレッチからはじめるなど、少しずつ腰の筋肉を
動かしていきましょう。

急性期は患部の炎症を鎮めるため基本的に冷やします。
激しい痛みが引いてきたら、今度は血行を促すために温めます。

コルセットを装着すると安心感がありますが、あくまでも活動しやすくする
ための補助として使うようにします。
コルセットをつけたまま安静にしてしまうと腰の筋肉が動かしにくくなり、
治りが遅くなります。

ぎっくり腰は1週間も経つと痛みはだいぶやわらぎ、1か月以内には完治
するのが普通です。

1か月以上続く場合は、慢性腰痛とされています。
腰痛が慢性化する背景には、座りっぱなしの生活や姿勢の悪さ、運動不足、
体重が多いことで腰に負担がかかっている場合などが考えられますが、
椎間板ヘルニアなどの疾患である場合も少なくないので、整形外科を受診して
診断を受けることをおすすめします。

急性腰痛の予防としては、かがむときは膝を曲げてかがむ、重い荷物を
持ち上げるときは立てひざをして立ち上がる、腰を反らせる姿勢を避ける、
歩きやすい靴をはく、などが挙げられます。

このほか、腹筋や背筋など、腰~背中を支える筋肉を鍛えるのも効果が期待
できます。
ただし、体操などをする際には無理は禁物です。

ぎっくり腰は癖になるとも言われます。
再発したり慢性化したりすることのないよう、ゆっくりでも確実に予防の
心がけをしておくとよいでしょう。

なお、急な腰痛で安静が必要なのは、腰椎の圧迫骨折などの限られた場合だけ
です。

もともと骨粗しょう症があり、骨折のリスクが高い人では、「ぎっくり腰」と
思っていたら圧迫骨折を起こしている、という場合も考えられますので、
早めに整形外科でレントゲン検査を受けたほうがいいでしょう。

(監修:あそうクリニック院長 麻生伸一)

https://sp.kateinoigaku.ne.jp/kiji/125968/

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