スマホが関連? 突然発症する急性内斜視

[スマホが関連? 突然発症する急性内斜視]

(家庭の医学  2019年8月26日)

<ものが二重に見えたら可能性大>
正面を見ているときに、黒目が内側に寄ってしまう内斜視のうち、生後6か月
以降に発症するものを後天内斜視といい、このうち突然発症する内斜視を
「急性内斜視」といいます。
これまではごくまれな疾患でしたが、ここ3年で10代を中心に約3倍に増えて
いるという報告があります。

患者が急激に増えている要因として挙げられているのがスマートフォンの
使用です。
スマホが普及した時期と患者の増えてきた時期が重なっていることもあり、
ゲームなどで小さな画面を長時間見つめ続けることが、急性内斜視の発症に
影響している可能性が指摘されています。

浜松医科大学の研究グループが日本弱視斜視学会と日本小児眼科学会と
連携し、小児眼科医など1083人に対しおこなった調査によると、2018年の
1年間に4割以上の医師が5~35歳の急性内斜視の患者を診察していました。
このうち約8割が発症にデジタル機器が関連したと考えられると回答して
います。

しかし、因果関係については科学的にまだはっきり証明されていないのが
現状です。

急性内斜視の主な症状は寄り目とモノが二重に見える複視です。
複視は先天内斜視ではみられない症状で、急性内斜視の大きな特徴です。

また目が寄っていることを本人は気づかず、周囲に指摘されて初めて気づく
こともあります。

眼球の動きは上下に動かす上直筋と下直筋、左右に動かす外直筋と内直筋、
斜めに動かす上斜筋と下斜筋の6つの筋肉が縮んだり緩めたりして視線を
合わせています。

近くのものを見ようとすると、焦点を合わせるために黒目が内側に寄ります。
このとき主に働くのが内直筋と外直筋で、内直筋が縮んで外直筋は伸びた
状態になっています。
内斜視は長時間近くを見続けることで、筋肉が元の状態に戻りにくくなって
発症するのではないかと考えられます。

内斜視が疑われた場合は、まず器質的な疾患がないか検査することが重要
です。
すぐに眼科を受診しましょう。

そのうえで、スマホの使用を控えることが大切です。
使用を1か月控えることで斜視の角度が改善された例もあります。
このほか、症状に合わせて屈折レンズを使った眼鏡での矯正や、内直筋の
位置を変える手術、ボツリヌス菌の注射などの治療が選択されます。

毎日使う人が多いスマホの使用上の注意点として、スマホ画面を見るときは
なるべく30cm位離すこと、10分程を目安に視線を移して遠くを見たり、
目を休めること、1日に4時間程度にとどめることなどが大切です。

とくに目の発達途上の子どもは注意が必要です。
大人が使用をコントロールしてください。

(監修:梶田眼科院長 梶田雅義)

https://sp.kateinoigaku.ne.jp/kiji/126248/

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