飼い犬は人間に似た眉の筋肉を進化・・・人操る表情に

[巧みに人を操る「子犬の目」の進化、オオカミにはできない表情 研究]

(AFPBB News  2019年6月18日)

【AFP=時事】
犬が人間を自分の意思に従わせるために「子犬のような目」を使うのを、
どうやって身に付けたか考えたことがあるだろうか。

17日の米科学アカデミー紀要(PNAS)に掲載された最新の研究論文に
よると、飼い犬は人間に似た眉の筋肉を進化させており、それによって
人の心をとろけさせるあの悲しげな顔の表情を作れることが明らかになったと
いう。

今回の研究では、死んだ飼い犬を解剖し、飼い犬の祖先である野生の
オオカミと比較した。
飼い犬とオオカミは約3万3000年前に分岐した。

今回の研究の別のパートでは、犬と見知らぬ人間との2分間の交流の様子を
録画し、眉頭を上げる、目の周りの特定の筋肉がどれくらい使われているかを
詳細に記録した。
さらにオオカミでも同じ実験を行った。

その結果、飼い犬の場合は目の周囲に2つの筋肉が必ず存在し、十分に形成
されているが、オオカミではそうではないことが判明した。
また、人をじっと見詰めている間に眉を激しく動かすのも犬だけであることが
分かった。

論文の共同執筆者の一人で、米デュケイン大学のアン・バロウズ教授は、
AFPの取材に「これによって目がより大きく見えるようになり、人間の
幼児に似た状態になる」「それにより、世話をしたいという気持ちが
引き起こされる」と説明した。

さらに、眉の筋肉は犬では力強いがオオカミではそうではないため、
「眉の筋肉とその機能が自然選択されていることが分かる」と、バロウズ
教授は指摘した。

英ポーツマス大学のジュリアン・カミンスキー氏が主導した今回の研究には、
米ハワード大学や米ノースカロライナ州立大学などの研究者らも参加した。

今回の研究が基礎としている先行研究の一つで、2015年に日本の研究
チームが発表した注目すべき研究論文では、人間と飼い犬が互いの目を
見つめ合うと、双方に「愛情ホルモン」であるオキシトシンの分泌が促進
されることが実証された。
これは、人間の母親と赤ちゃんとの間にみられる作用に似ている。

だが、今回の研究では、犬がまず人間の関心をどう自分に向けさせるかを
説明できるかもしれない。

人間同士のコミュニケーションでは、相手の顔の上部に注意が向けられる
傾向があり、犬たちはこの動的変化に応答しているのかもしれない。

また、大げさな眉の動きによって犬の眼球の白い強膜(白目)が露出するが、
人間も白い強膜を持つため、他の動物でもそれが心に訴えかけるように
感じるのだとする説もある。

他の霊長類の強膜は、視線を隠すために黒ずんでいる。

<古代犬種VS小型愛玩犬>
興味深いことに、今回解剖された犬の中のシベリアンハスキーは、他の犬種
には2つある筋肉のうちの1つで、まぶたの角を耳の方に引っ張る筋肉が
なかった。
その理由は、ハスキーが古い犬種であり、犬とオオカミとの関連性がどの
ようなものだった可能性があるかを最もよく表す現存種だからかもしれない。

バロウズ教授は「ハスキーで今回確認された興味深い変化についてさらに
掘り下げる予定だ」として「マラミュートやサモエドなどのさらなる
古代犬種を調査し、その結果をチワワやヨークシャーテリアなどの小型犬種と
比較したいと考えている」と述べた。

さらには猫や、犬と同様の動きを作り出すとみられる馬など、人間との親密な
関係にあるその他の動物にも、今回の研究を広げられるかもしれない。

https://news.livedoor.com/article/detail/16637755/

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