盲目の猫にハリー・ポッターを毎日読み聞かせを続けた男性(米)

[「心を開いてくれるまで・・・」
             盲目の猫に毎日読み聞かせを続けた男性(米)]

(TechinsightJapan  2018年06月17日)


施設に引き取られた盲目の猫の心をなんとかして開き、人に慣れるようにして
やりたい…
そう思った男性スタッフは、ユニークな方法で猫とのふれあいを始めた。
その結果、猫は男性や他のスタッフに打ち解けるようになり、今では男性との
間に特別な絆が育まれるまでになった。
海外動物専門サイト『The Dodo』などが伝えている。


今年3月、米バージニア州リッチモンドのSPCA(動物虐待防止協会)に
1匹の雄猫“スティービー・ワンダー”(5歳)がやって来た。
盲目のスティービーは通りをうろついているところを保護され市内の施設に
預けられていたが、SPCAへと移されたのである。
保護当初、スティービーは環境の変化について行けず、ほとんど餌も口にする
ことなく一日中隠れて過ごしていたという。

そんなスティービーの状況が少し改善されたのは、SPCAの施設で他の
猫たちと一緒に暮らすようになってからだった。

しかし劇的な変化が現れるようになったのは、スティービーがプライス・
マッキンタイアさん(19歳)と出会った5月からだった。

施設ボランティアのプライスさんは、スティービーがもっと人に慣れてくれる
ようにと本の読み聞かせを始めることを思いついた。
幸いにも施設内には至るところにホグワーツ魔法魔術学校の装飾が施されて
あり、プライスさんは「読み聞かせをするなら、ハリー・ポッターの小説しか
ない」と思ったという。
プライスさんはスティービーの部屋をホグワーツ魔法魔術学校の4つの寮の
ひとつである「ハッフルパフ寮」に見立て、他の猫たちを引き取りに来る
人々にも猫たちの個性をユニークな方法で知ってもらえるように努めた。
忠誠心と忍耐をテーマとするハッフルパフ寮ならではといったところ
だろうか。

結果としてスティービーに対するプライスさんの辛抱強い取り組みが大きな
効果をもたらすこととなった。

プライスさんはこのように話している。
「最初に会った時、スティービーは僕と関わることに全く興味を示して
くれませんでした。僕は慣れてもらうためにスティービーのもとを訪れ
続けました。少し慣れてくるまで数週間はかかりましたが、毎日会って
数時間ハリー・ポッターの小説を読み聞かせ続けたんです。スティービーは
一言一句に耳を傾けてくれていて、やがて僕との時間を楽しむようになって
くれました。それから数週間後には、スティービーはすり寄ってくれるまでに
なって僕のそばでストーリーを聞くようになったのです。」

プライスさんは規則正しくスティービーとの読み聞かせの時間を決め、金曜日
ごとにコスチュームのガウンを身に纏いハッフルパフの寮生になりきったり
しながら、今でもほぼ毎日のようにスティービーとの時間を過ごしている。

時間をかけたユニークな方法で少しずつ盲目のスティービーの心を解き
ほぐしていったプライスさんのおかげで、今やスティービーはプライスさん
だけでなく他の人にも心を開くようになってきたという。

SPCA広報課長のタビサ・トレロアーさんは、『The Dodo』にこのように
語った。
「スティービーはとても愛情深い猫ですが、自分から人に寄っていくことの
ほうが好きなようです。プライスさんはスティービーのために素晴らしい
務めを果たしてくれました。今ではスティービーとプライスさんの間に特別な
絆が育まれているといってもいいでしょう。」

プライスさんのユニークなアプローチは、スティービーが人間に対して心を
開くようになっただけでなく、盲目というハンディを背負ったスティービー
への自信を芽生えさせるきっかけにもなった。
スティービーは施設内の部屋をあちこち探検したり、段差から飛び降りたり
するようにもなり、餌やトイレがどこにあるかも問題なく探せるようになった
そうだ。
その仕草は、初めてスティービーを見た人が盲目だと気付かないほどだと
タビサさんは言う。

1匹の盲目の猫との信頼関係を得るために、毎日努力を怠らなかったプライス
さんは「今ではスティービーは僕に体を撫でさせてくれて、頭にもキスさせて
くれるようにまでなりました。とても可愛いです。心を開いてもらうまで
時間はかかりましたが、その価値はあったと思います」と話しており、近い将来、母親の許可が下りたらスティービーを引き取るつもりでいると
いう。
それまでの間は、施設でハリー・ポッターの読み聞かせを通してふれあいの
場を持ち、勇気と友情についてともに学んでいくことになるようだ。


(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)


http://japan.techinsight.jp/2018/06/ellis05350616.html




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