まさかの場所に魚の骨が

[Dr. 倉原の”おどろき”医学論文  まさかの場所に魚の骨が!?]

(ケアネット  2018年6月15日)


魚骨って消化器系の異物論文ではよく見掛ける原因なんですが、基本的に
頸部周辺では簡単に摘出できるものが多く、異物論文としての報告例自体は
少ないです。


そんな中、異彩を放つ論文がありました。

そもそも魚骨は咽頭に引っ掛かって、救急外来で「ほら、取れたよ」という
シーンになることが多いのですが、咽頭に刺さった骨がそのまま移動して
しまって…というシナリオはあまり想定されていません。

この症例報告は、なんと31歳の女性の甲状腺で魚骨が見つかったというもの
です。
食道から胃のほうへ流れていくのならともかく、なぜに甲状腺…!?

この女性、ディナーパーティーの時にパクパクといろんなものを食べて
いたら、突然、喉の痛みを感じたらしいです。
魚の骨だと気付き、米やら飲み物やらジャカジャカ飲み食いして流そうと
しましたが、ダメでした。

仕方なく病院を受診し、ファイバーで喉頭をのぞいてもらいました。
しかし、どこにも異物はなく、「ま、おそらく流れていったんでしょう」と
いう結果になりました。
いつしか、彼女の咽頭の違和感も消えていました。

さて、このエピソードから2ヵ月経ったころでしょうか。
首を回転させると、左頸部に違和感があるのです。
グルン、イタッ。
グルン、イタッ。
なにこれ。

超音波をしてみました。
痛い場所は甲状腺です。
……アレッ!!! 甲状腺に魚の骨がある!!!

とりあえず、甲状腺に骨があってはタイヘンなので、外科手術で摘出され
ました。
なんと、長さ2.45cmの魚の骨が甲状腺から出てきたのです。


珍しい経過ですが、実は過去に20例近い甲状腺魚骨の症例が報告されて
おり、“長い魚の骨”というのがリスク因子ではないかと考えられています。
鋭く尖った骨が、食事によって運悪く甲状腺に押し込まれてしまうのです。



http://www.carenet.com/report/series/internal/kurahara/cg002023_117.html?utm_source=m15&utm_medium=email&utm_campaign=2018061102




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