飼い犬の唾液で細菌感染した男性、両脚と手の指、鼻を失う(英)

[飼い犬の唾液で細菌感染した男性、両脚と手の指、鼻を失う(英)]

(Techinsight  2018年4月16日)


愛犬との楽しいひとときが、後に人生を大きく変える事態へと発展して
しまった。
2016年、英マンチェスター郊外に住む男性が飼い犬の唾液に感染し敗血症と
なり、両脚や手の指を切断しなければならない悲劇に見舞われたのである。

このほど英メディア『Manchester Evening News』『Mirror』などが
伝えた。


2001年に南アフリカからイギリスに移住し、マンチェスター郊外の
チョールトン=カム=ハーディに暮らしながら認知症患者を対象とする
精神科医を務めているジャコ・ネルさん(52歳)は、2016年10月に人生を
大きく変える悲劇に見舞われた。

その日、愛犬でアメリカン・コッカー・スパニエルの“ハーヴィー”と遊んで
いたジャコさんは、手をほんの少し犬に引っかかれてしまい傷を負ったが
特に気にすることもなく、手を洗った後はそのことも忘れて普通に過ごして
いた。

ところが2週間後、インフルエンザのような症状がジャコさんに現れた。
「暑くなったり寒くなったり、震えが止まらず体が温まることはありません
でした。体中が痛かったので、インフルエンザかと思いパートナーに『自宅へ
戻って寝るから』と連絡し、秘書には全ての予約をキャンセルするよう頼んで
家に帰りました。翌日は更に具合が悪くなって職場に電話することさえ
できなくなり、電話が鳴っていることさえ気づきませんでした。パートナーが
仕事から帰って来た時には、私は立ち上がることも両手をまともに動かす
こともできず、話すことも困難になっていたのです。」

パートナーによって救急車が呼ばれ、駆けつけた救急隊員はジャコさんの
体中に敗血症の兆候である赤い斑点があることに気付いた。

救急隊員は直ちに抗生物質の投与を開始したが、ジャコさんは緊急外来に
到着するや否や倒れてしまい、そのままICU(集中治療室)へと運ばれた。
医師らはジャコさんを昏睡状態に保ち治療を続けた。
敗血症性ショックに陥ると、生存率はわずか20%とされるという。

ジャコさんの場合、腎臓が機能を失い始め、両脚が壊疽のため黒く変色
し始めていた。
昏睡状態から目覚めたジャコさんは、病院のベッドに横たわりながら組織
が死んで壊疽した脚や指を見て、どれほど深刻な状態に陥っているかを
知り「自分は全てを失うのだ」と思ったという。

4か月後、ジャコさんは両膝下と右手の全指、左手指1本を切断した。
更には壊疽で形が崩れてしまった顔面の再建手術も受けなければならな
かった。
現在、義足を装着して再び歩くことができるようになり、自立した生活が
可能になったジャコさんだが、変形を留めたままの顔により自信をすっかり
なくしてしまったと語る。

「顔の形が崩れてしまった事実を受け止めていかなければならないのはとても
辛いことです。でもどうにもなりません。自立した生活を取り戻せた一方で、
この顔のせいで出かけることも億劫に感じるようになり、自信を失ってしまい
ました。」

ジャコさんの敗血症の原因について当初、医師らは当惑していたようだ。
しかし3週間後の血液検査で、犬の口腔内に生殖している細菌が原因である
ことが判明した。

結果、ジャコさんとパートナーはハーヴィーを安楽死させる決断を下した。
「直接噛まれなくても唾液を通して感染するので、もし子供や誰かが
舐められて感染でもしたらとんでもないことになりますし、不安で仕方
ありませんでした。自分がこんな目に遭って、一時期は激しい怒りを感じ
犬を責めたりもしましたが、細菌に感染したことはただもう運が悪かったの
でしょう。安楽死させたことはとても悲しいですが、ハーヴィーは老犬で
いずれにしても先が短かったのです。」


生死の淵を彷徨って1年半、ジャコさんは死へ近づく経験をして障がいを
抱える身となったことから、自身の患者に対しても更に理解と共感の気持ちが
湧くようになったという。

また、苦境を乗り越えた自分の内面の強さにも気づき、病に伏していた時に
家族や友人たちが自分をケアしてくれたことで、より一層彼らとの結びつきが
強くなったと話している。



(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)



http://news.livedoor.com/article/detail/14588116/





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