イップスとは

[イップス]

(Wikipedia)


1930年前後に活躍したプロゴルファーのトミー・アーマーが、トーナメント
からの引退を余儀なくされたことで知られるようになった。

アーマーは1967年に出版された自著『ABCゴルフ』の中で、今まで
スムーズにパッティングをしていたゴルファーがある日突然緊張のあまり、
カップのはるか手前のところで止まるようなパットしか打てなかったり
カップをはるかにオーバーするようなパットを打ったりするようになる病気に
イップスと名づけた。
(YIPS、うめき病、yipeは感嘆詞で「ひゃあ」「きゃあ」「うわっ」といった
 意味)

この症状を説明するために、ゴルファーの間では「ショートパット恐怖症」
「よろけ」「イライラ」「ひきつり」などの表現がされてきた。

イップスの影響はすべての熟達したゴルファーの4分の1から半数位に及ぶと
いう。
アメリカ・ミネソタ州の大病院メイヨー・クリニックの研究者によれば、
すべての競技ゴルファーのうち33〜48%にイップスの経験がある。
25年以上プレーしているゴルファーにそうなりやすい傾向があるようである。


しかし、イップスの正確な原因というのは未だ決め手がない。
1つの可能性として、加齢に伴う脳の生化学的変化の結果ではないかと
考えられている。

プレーに関係する筋肉を使いすぎたり、協調運動や精神集中に迫られる
ことで、問題が悪化する場合もある。

また別に、イップスの本当の原因として局所性ジストニア がその可能性の
1つとして言及されることもある。



<テニスでのイップス>
アルゼンチンのテニスプレイヤー、ギエルモ・コリアは、世界ランク3位に
位置していながらサービスのイップスに苦しんでいた。


<サッカーのイップス>
オーストラリアン・フットボールリーグ、セント・キルダのニック・
リーウォルドもキックのイップスにかかった。


<クリケットのイップス>
クリケットでは、キース・メドリコットなどイップスにかかった複数の
投手が、投球動作を終える前にボールを手放してしまう症状を抱えていた。


<野球のイップス>
野球では投手、捕手、内野手に見られ、特に投手と内野手には正確な
コントロールが求められるため、死球や暴投などのトラウマからイップスに
陥る場合が多いとされている。

イップスが原因で守備コンバートを余儀なくされた選手に田口壮、三浦貴、
土橋勝征などがいる。
しかし、荒木雅博や岩本勉のように克服する例や、田口や土橋のように
コンバート後に開花する例もある。

大リーグでも、チャック・ノブロック(二塁手であったが悪送球癖が出て、
左翼手に転向し2年で引退)、リック・アンキール(投手だが暴投癖をもって
しまいマイナーで打者に転向、後にメジャー再昇格してレギュラーに)、
スティーブ・サックス(二塁手、克服)のような例がある。

大リーグでは投手がイップスにかかることをスティーブ・ブラス病と呼ぶ
こともある。
1970年代にパイレーツのエースとして活躍したものの、突如極度の制球難に
苦しみ引退を余儀なくされたスティーブ・ブラスにちなむ。


<ダーツのイップス>
ダーツでもイップスと同様の症状が知られており、「ダータイティス」と
呼ばれる。


<弓道・アーチェリーのイップス>
弓道、アーチェリーでは矢を発射する位置まで弓を引いたら無意識のうちに
すぐに弦を離して矢を放ってしまう症状があり、ともに「早気(はやけ)」と
呼ばれる。
(本来は数秒間の「伸び」と呼ばれる動作によって、狙いと体勢を安定させて
 から弦を離す)

逆に、弓を引いてそのまま弦を離せなくなる(矢を放つタイミングを失う)
症状も、少なくとも弓道においては、よく知られており、「もたれ」と
呼ばれる。


<卓球のイップス>
卓球では坂本竜介がこれに陥ってサーブが全く打てなくなり、引退に追い
込まれた。




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