スマホアプリ版母子手帳で妊婦の不安解消、生涯健康データ蓄積へ

[スマホアプリ版母子手帳で妊婦の不安解消、
                  生涯健康データ蓄積のきっかけにも]

(nikkeibp  2013年10月23日)(本間康裕=ITpro )


2013年10月18日と19日の2日間香川県高松市で開催された第17回日本遠隔
医療学会学術大会で、NTT東日本関東病院の産婦人科主任医長である杉田匡聡
氏が、スマートフォンで利用するアプリ「妊婦手帳」(仮称)に関する発表を
行った(写真1)。

このアプリは、NTT東日本関東病院産婦人科とNTTドコモ、博報堂、博報堂
DYメディアパートナーズで共同開発した。

まず4者が協力して、公募に応じた妊婦や分娩経験者に聞き取り調査を実施。
その後病院内で実証実験を行った。


杉田氏は「当院の倫理委員会の承認を受けた上で、このアプリをインストール
したスマートフォンを31人の妊婦に2か月間貸し出した」と説明。
アプリの機能は、
 ・毎日更新される(1)妊娠週数カウンター
 ・(2)胎児の睡眠リズムなどを知らせるToday’s Baby
 ・毎週更新される(3)よくあるQ&A集
 ・(4)病院からの宿題などの形で提案されるTo Doリスト
 ・(5)毎日入力する妊婦の体調
        (気分、体重、睡眠、便通、つわりなど)
 ・(6)病院からのお知らせ(随時配信)
となっている(写真2)。

病院側は、主に(4)と(5)をタブレット端末で確認し、アプリを妊婦の
自己管理を促すためのツールとして利用した。


利用者を対象に調査したところ、「不安が軽減した」という回答が6割を
超え、「ネット検索をしなくても必要な情報を取得できた」点を評価する声が
あった。
知識を深めることができたという回答は9割以上に達し、「電車の中でも
知識が得られた」「病院を通じての情報なので信用できた」との声が寄せ
られた。

機能の中では、必要な情報が妊娠週数に合わせて送られるToday’s Baby、
Q&A、To Doリストが好評。
9割がアプリの継続利用を希望したという。

利用状況では、朝に妊娠週数カウンターやToday’s Babyをチェックし、夜
は体調入力や病院からのお知らせを見る、という傾向がはっきり表れた。


杉田氏は「アプリで普段から情報を交換していれば、医療者側に余裕が生じる
ことで、もっと密度の高い健診ができる可能性がある。なぜなら、これらの
情報交換以外に時間を割くことができるから」と解説。
「スマートフォンアプリの操作に抵抗のない、妊娠可能な世代に対するこう
した情報提供は、非常に有用だと考えられる。また乳児にとっては成長後、
生まれたときからの自分の情報をアプリで見られるのが普通、という環境に
なる。これは、 EHR(Electronic Health Record)やPHR(Personal Health
Record)が定着するベースになり得る」と有用性を評価した。


この「妊婦手帳」(仮称)は、商品化の計画が進んでいる。
早ければ年内にも公開される予定。
価格や提供方法などは未定。


http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20131022/512902/




No tags for this post.
カテゴリー: さ産科, し小児歯科,  小児科(医科) パーマリンク