てんかん患者の出産、妊娠前から葉酸摂取を

[てんかん患者の出産、妊娠前から葉酸摂取を  服薬は医師と相談]

(あなたの健康百科  2013年08月09日)


てんかんのある女性の出産で、赤ちゃんに先天的な肢体の不自由が見られた
場合、母体の葉酸不足や抗てんかん薬の使い方の影響が大きいことが分かって
きた。
過度に神経質になる必要はないが、適切な対応が望まれる。
国立精神・神経医療研究センター病院(東京都)精神科の渡辺雅子医長に
聞いた。



<胎児の発育に重要>
渡辺医長は、てんかんのある女性の出産で子供に先天的な肢体の不自由が
起こる催奇性の原因として、大きく次の2つを挙げる。

「1つはビタミンB群の葉酸不足です。葉酸は神経細胞を作るのに必要な
栄養素で、胎児の脳や脊椎の発育に重要な役割を果たします。健常な妊婦でも
葉酸が不足すると胎児に影響しますが、特にてんかんがある女性では影響が
より大きいのです」


もう1つは抗てんかん薬の使用法。
抗てんかん薬はいろいろあるが、中でもバルプロ酸ナトリウムやフェニトイン
という薬は使用量が増えると催奇性が10%前後と、健常な女性の約2倍に
なると報告されている。

「妊娠してから、これらの原因に対応しようとしても遅い可能性があるので、
てんかんがあって妊娠を希望する女性は半年から1年前にかかりつけの医師に
相談してください」(渡辺医長)



<服用量少なく>
葉酸はホウレンソウやアスパラガスに多く含まれており、1日0.5ミリグラム
程度を摂取する必要がある。
それには、妊娠前から葉酸のサプリメントを利用すると効果的だ。

「抗てんかん薬については、催奇性の高い薬とその併用を避けて、可能な限り
単剤治療で服用量を少なくするのが第一です。例えば、単剤治療でバルプロ酸
ナトリウムを用いる場合は1日700ミリグラム以下にすべきです」
(渡辺医長)

ただし、過度に神経質になるのは逆効果。
自己判断で抗てんかん薬を中止すると、てんかん発作を起こして胎児に
悪影響を与える危険性がある。

渡辺医長は「妊娠中に発作を起こすと、流産や早産の原因になりかねません。
実際、発作による流産の出現率は約1%と報告されているので、自分の判断
では服薬をやめないように」とアドバイスしている。



2012年10月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)



http://kenko100.jp/articles/130809002528/





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