サマータイムで睡眠障害 日本睡眠学会が声明

[どうする「未病」 サマータイムで「睡眠障害」 学会が声明]

(毎日新聞  2008年7月28日)


世界の国々で「省エネ」「エコ」の流れが加速するなか、ここ数年、夏が来る
たび日本で話題にのぼるのが「サマータイム制度」です。
夏の太陽光を有効に使う目的で欧米各国などで実施されている、いわゆる
夏時間制度のことで、エネルギーの節約が最大の利点に挙げられます。

今年は北海道・洞爺湖サミットの開催もあり、例年に増して導入への議論が
活発化。


そんな中、日本睡眠学会が先日こんな声明を発表しました。
「サマータイム制度は健康に悪影響を及ぼし、結果として経済的損失を
生じさせる」という、制度への反対意見です。

同学会の分析はこうです。
サマータイム制度の導入で睡眠や生体リズムに乱れが生じ、睡眠障害の
引き金に。
その結果、医療費が増大し、加えて体調不良により仕事の作業効率は低下。
経済的損失は年1兆2000億円に上ると学会は試算しています。


そもそもサマータイムとは、どんな制度なのでしょうか。
アメリカ合衆国の場合、3月の第2日曜に時計を1時間早め、11月の
第1日曜に元に戻します。
「夏の間だけ時計を進める」というイメージがありますが、このように
実施期間は約8カ月と長く、カナダやヨーロッパの国々にも同様です。

実は日本でも終戦後の一時期、サマータイムが実施され、米軍の占領終了と
ともに廃止された過去があります。

近年、省エネの見地からサマータイムを見直す動きが出始め、2004年には
超党派の国会議員による「サマータイム制度推進議員連盟」が発足。
地球温暖化対策の切り札と期待する意見もあります。

欧米と比べて高温多湿の日本で、果たして省エネの効果は上がるのか、
さらには導入によって残業が増えないか、など様々な議論も起きています。

そして今回、日本睡眠学会が指摘した「睡眠障害」という新たな問題。
同学会は声明文の中で「国民の間で活発な議論が起こることを期待する」とも
述べています。

学会が一石を投じたことにより、サマータイム制度についての議論は今後
さらに活発化しそうです。


(伊藤綾/ライター・オフィスクリオ所属)


http://mainichi.jp/life/health/mibyou/archive/news/2008/20080728org00m100007000c.html




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