オーラルフレイルを知っていますか

[オーラルフレイルを知っていますか]

(家庭の医学  2017年4月20日)

<やわらかい食べ物が寝たきりにつながる!?>
元気で長生きするためには、自分で噛んで食べることが不可欠とわかって
きました。
そこで、徐々に進行するオーラルフレイル(口腔内の虚弱=機能低下)を
40代・50代から予防する重要性が注目されています。
どうすれば防げるのでしょうか。

オーラルフレイルとは、口の中の(オーラル)・虚弱(フレイル)のこと。
おもに高齢になって、噛む、飲み込む、しゃべるなどの口腔の機能が低下する
ことを指します。

近年、高齢者の口腔内の清潔や口腔機能の維持が、健康寿命を伸ばすことに
大きく関与していることがわかってきました。
オーラルフレイルもその視点で注目されています。

オーラルフレイルが進行すると、噛めない食品が増える、食べこぼしを
起こす、うまく飲み込めなくてわずかなものにむせるようになる、飲み込む
タイミングがわからずいつまでも口腔内に食べ物が残る、滑舌が悪くなる
などの症状が現れます。

ただし、オーラルフレイルの影響は飲食や滑舌だけにとどまりません。
たとえば、食べることに困難を感じるようになったり、好きな物を思うように
食べられなくなったりすると、食べることがゆううつになって食欲が落ちて
きます。

また、噛み応えのある肉や食べにくい魚、噛みにくい豆類などを避けるように
なり、たんぱく質が不足しがちに。
その結果、体力や筋力が低下し、動くことがおっくうになってきます。

ちょっとしたかぜで寝込むなど、免疫力の低下も現れます。

日常的に活動量が減っていく状態が続けば、ロコモティブシンドロームや
サルコぺニア(加齢性筋肉減弱症)といった自分で移動する力の低下に
つながり、やがては、寝たきりや要介護状態になるリスクが高くなります。

また、しゃべりにくさを感じると、他人とのコミュニケーションを避ける
ようになってしまいます。
放置すれば、社会的な孤立や認知症の発症リスクが高くなる可能性も
あります。

オーラルフレイルは高齢者だけが心配するものではありません。
40代、50代から口腔内の健康が衰えてくるのです。

では、どうしたらオーラルフレイルを防ぐことができるでしょうか。
予防には、噛む・飲み込む・話す、この3つの機能を維持させるように
努めることが必要です。

噛む機能の維持は、よく噛むことを意識して食べる、早食いをしない、
やわらかいものばかり食べない、歯みがきやデンタルチェックを欠かさずに
自分の歯を残す努力をする、入れ歯や差し歯が合っていない場合は早めに
治療する、などがあげられます。

飲み込む機能の維持は、よく咀嚼して唾液を十分分泌させてから飲み込む
(唾液腺の刺激、チューインガムを噛むなどで普段から分泌を促す)、
水分で流し込まない、早食いをしない、などです。

話す機能の維持は、1日だれとも話さなかったということがないように人と
話す機会を積極的に活かす、とくにカ行・タ行・ラ行・パ行は発音しにくく
なるのではっきり言えるよう練習する、口の周りの筋肉を維持する
表情筋体操、歌や朗読などを行う、など。カラオケもプラスになります。

そして、体力、免疫力、筋肉を維持するために、いろいろな食材をバランス
よく摂取し、過労や過度なストレスを避ける、あるいは適切に発散することも
大切です。

オーラルフレイルが怖いのは、あまり自覚がないままに進行していく点です。
水分の少ないものが食べづらくなった、お茶や水でむせることがある、
硬い食べ物はめんどうで食べなくなった、言い間違いが多くなった、
などはありませんか。
思い当たることがあったら要注意。
今日から3つの機能の維持に努めましょう。

(監修:松下歯科医院院長 松下和夫)

http://sp.kateinoigaku.ne.jp/kiji/124361/

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