煮干しが原因で開咬に

[煮干しが原因で開咬に]

古くからある教科書には、最初に生えてくる永久歯は下顎6番(6歳臼歯)で
あると書いてある。
しかし、最近、下顎の前歯(下顎1番)が最初に交換する子どもが増えて
おり、女子では頻度が逆転している。
(日本小児歯科学会の疫学調査)

乳歯列から永久歯に生えかわるタイミングは、よく使う部位、刺激が多い部位
から始まるという説がある。

下顎の前歯が最初に交換する子どもが増えている原因として、奥歯で噛む
ことが少なく、前歯や犬歯で噛んでいるのではないかと推測される。

前歯噛みと思われる子どもは、歯列が小さいことが多く、永久歯の下顎前歯が
重なって出てくることも珍しくない。

逆に、前歯をほとんど使っていないと思われる子どもは、上顎前歯の萌出が
遅れる傾向にあり、また舌突出癖が見られるため、開咬の頻度が多いように
感じている。

開咬の児の症例である。
(研究会報告症例)
母親は以前保育園に勤務していた。
その保育園では園長先生の方針で、おやつに煮干しを食べさせていた。
母親は自分の子どもに、離乳の早い段階から煮干しを食べさせていた。
カルシウム摂取の点からも咀嚼練習の点からも理想的と考えていた。
結果、子どもは開咬になってしまった。

開咬の原因は指しゃぶりや横向き寝、うつ伏せ寝が原因であることが多いが、
間違った咀嚼嚥下も要因のひとつである。

乳歯の前歯で煮干しを噛み切るのは痛いので、煮干しを口の横から入れ、
乳臼歯で噛んでいたと想像される。
口唇閉鎖が充分トレーニングされていない段階で、口の横から硬い食材を
入れる癖がついてしまった。
口を開けた状態で、奥歯だけで煮干しを噛み続け、その流れで口を開けたまま
嚥下するため、舌を前に出す癖がついてしまったと想像される。

(横山歯科医院)

No tags for this post.
カテゴリー: か噛み合わせ(咬合), し小児歯科, は歯並び パーマリンク