仏女性の世界最高齢記録、実は娘の成り済まし?

[仏女性の世界最高齢記録、実は娘の成り済まし?
                     ロシア研究者の指摘で物議]

(AFPBB News  2019年1月7日)

【AFP=時事】
1997年に死去したフランス人女性が持つ史上最高齢の世界記録について、
成り済ました娘の詐称だった可能性をロシアの研究者らが指摘し、広く物議を
醸している。

現在「ギネス世界記録」で認定されている世界史上最高齢は、フランス人女性
ジャンヌ・カルマンさんの122歳164日。
生前のカルマンさんはよく、「神様は私のことを忘れているに違いない」と
冗談を言っていた。

しかし、この記録に疑問を抱いたモスクワ大学の数学者ニコライ・ザーク
氏は、老年学者のバレリー・ノボセロフ氏と共同でカルマンさんの生涯を
調査。
数か月をかけ、本人のインタビューや写真、カルマンさんを知る人の証言、
カルマンさんが住んでいた南仏アルルの自治体の公文書などを分析した。

「これらの資料すべてを分析した結果、ジャンヌ・カルマンさんの娘
イボンヌさんが母親に成り済ましていたという結論に達した」とザーク氏は
AFPに語った。

ザーク氏は先ごろ「ジャンヌ・カルマン、その長寿の秘密」と題した
報告書を、世界の研究者向けソーシャルネットワークサービス「リサーチ
ゲート」に発表した。
その内容には激しい非難が殺到する一方、科学者の中からは報告を歓迎し、
長寿記録に関する審査の厳格化が必要だと強調する声も上がっている。

公式記録によれば、カルマンさんの娘イボンヌさんは1934年に胸膜炎で
亡くなっている。
ザーク氏は、このとき死亡したのはイボンヌさんではなくカルマンさん
自身で、その後イボンヌさんが相続税の支払いを逃れるために母親に
成り済ましたとの説を唱えている。
この説が事実なら、1997年に亡くなったのはイボンヌさんで、年齢は99歳
だったことになる。

<待たれる遺体発掘?>
ザーク氏は1930年代のカルマンさんの身分証明書に記載されている身体的
特徴と、後年の実際の容姿が異なる点を指摘する。
身分証明書には、カルマンさんは身長152センチで、目の色は濃い茶色、
額は狭いと記されている。
いずれも、後年のカルマンさんの外見と全く一致しない特徴だ。

一方、老年学者のノボセロフ氏は「医師として、常にカルマンさんの年齢に
疑問を持っていた」と主張する。
「カルマンさんの筋肉組織の状態は、同年代の人々と違った。何の支えも
なしに上体を起こして座っていられた。認知症の兆候も全くなかった」

さらに疑惑を深める要素として2人は、カルマンさんが有名になってから、
昔の自分の写真の一部を燃やしてくれと指示していた点を挙げている。

一方、カルマンさんのギネス世界記録認定に携わったフランスの人口統計
学者・老年学者のジャンマリ・ロビヌ氏は、カルマンさん関連の「文書の
信ぴょう性に疑いを抱いたことは一度もない」とAFPの取材に語った。

また、カルマンさん死亡時にアルル市長だったミシェル・ボゼール氏は、
カルマンさんは多くの医師の診察を受けていたとして、ロシア人研究者らの
説は「全くあり得ないばかげた話」だと反論している。

仏国立人口研究所のニコラ・ブルアール氏は、「ザーク氏が(ギネス審査
とは)独立した、しかし同じ領域をカバーする研究を行ったのは良いことだ。
非常に優れた研究であり、カルマンさん母子の遺体発掘調査を支持する
主張だ」と述べ、論争に終止符を打つことになるのはDNA検査だろうとの
見方を示した。

仮にカルマンさんのギネス記録が無効となった場合の史上最高齢記録は、
1999年に亡くなった米国人サラ・クナウスさんの119歳となる。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190107-00000030-jij_afp-int

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