効率アップに役立つ昼寝

[効率アップに役立つ昼寝は?]

(家庭の医学  2018年12月3日)


<30分以内が効果的>
昼食のあと、眠くて午後の仕事や授業などに集中できない…
そんな悩みをよく耳にします。
近年、昼寝をすることで集中力が増し、仕事や勉強の効率向上に役立つことが
明らかになっています。
どのような昼寝が効果的なのでしょうか。


昼間に眠気を感じると、前夜、よく眠れなかったからと思いがちに。
しかし、十分に睡眠をとっていても、午後になると眠くなるのは、人間の
睡眠リズムにもとづくと、ごく自然なことだと考えられています。

眠気がある状態で仕事をしても、能率は上がりません。
車の運転が必要な場合は、居眠り運転により交通事故を起こすリスクが高く
なります。
起きていようと思っても、一瞬、眠りに落ちてしまい、コントロールが
できないことも少なくありません。
眠気を感じるのは、脳が疲れている証拠。
仕事中はとくに、多くのストレスにさらされますが、昼寝をすることで
ストレスから一時的に開放され、脳がリフレッシュされます。


厚生労働省が発表した「健康づくりのための睡眠指針2014~睡眠のための
12箇条~」にも、昼寝についての記載があり、午後の早い時刻に30分以内の
短い昼寝をすることが効果的とされています。
しかし、午後の遅い時間の昼寝は、夜の寝つきを悪くし、睡眠不足の誘因と
なるので、避けたほうがよいでしょう。

短時間の昼寝のコツは、あまり睡眠が深くならないよう、椅子の背もたれに
寄りかかって目を閉じる、机にうつぶせの状態になるなどして、リラックス
することです。
また、スマートフォンのタイマー等を利用して、20分程度でアラームが鳴る
ようにしておきましょう。

台湾ではほぼすべての小学校で15分くらいの午睡(昼寝)をさせています。
このほうが学習効率がよいことが経験的に知られているからです。

日本でも生産性の向上に配慮して、昼寝を推奨する企業が増えていますが、
昼寝時間を設けている高校もあります。
福岡の県立高校では、全国初の取り組みとして、昼休みに15分間の昼寝を
実施。導入後3年間の調査では、大学入試センター試験の成績の上昇、
東京大学を含む難関国立大学や国公立大学医学部の合格者数の増加が
みられました。


一方、長すぎる昼寝は、病気を起こすリスクを高める可能性があるという
調査結果が、世界各国で発表されています。
たとえば、米国で行われた65歳以上の高齢男性を対象とした調査では、
昼寝時間が30分を超えると認知症を発症するリスクが上昇し、2時間以上に
なると、30分未満の人より80%もリスクが高くなることが報告されました。

この調査は高齢者男性のみに限定されたもので、ほかの調査についても原因の
詳細は明らかになっていません。
ただし、昼寝の時間が長すぎると、眠りが深くなって目覚めが悪いため、
起きてもしばらく頭が働かない状態に。
仕事や勉強などの効率アップのためには、適切な長さと時間帯での昼寝を
取り入れることをおすすめします。


(監修:寺本神経内科クリニック院長 寺本純)


https://sp.kateinoigaku.ne.jp/kiji/125653/




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