高齢者の記憶力や認知機能が高いのは秋分、低いのは春分

[季節で異なる? 高齢者の記憶力・認知機能]

(あなたの健康百科   2018年09月28日)


<米、カナダ、フランスの3,000人を調査>
厳しい暑さが一段落し、朝夕には涼しさも感じるようになった。
季節の変化は体調にさまざまな変化をもたらすが、高齢者の記憶力や認知機能
にも影響を及ぼすことが示された。

カナダ・University of TorontoのAndrew S. P. Lim氏らは、カナダや米国、
フランスの高齢者約3,000人を対象に行った調査結果のデータを分析。
70歳以上の高齢者では、記憶力や認知機能が高まるのは秋分前後で、低くなる
のは春分前後だったと報告した。



<冬季の認知機能は夏季に比べ約5年分の老化に相当する低さ>
Lim氏らは以前、高齢者では季節の変動により脳細胞の機能が大きく変化する
ことを発見。

今回、脳細胞の機能が大きく変化すると、認知機能にも影響を及ぼすという
仮説を立て、検証した。

検証では、米国、カナダ、フランスに在住する、あるいはフランスの認知症
専門外来が実施した研究に参加した高齢者(大半が70歳以上)約3,000人の
データを分析。
記憶力、五感などから得られる情報を認識する速度、視覚から物との距離や
奥行きなどを把握する能力を測定するテストを実施して、認知機能に関する
スコアを算出した。
さらに、対象の中に含まれていた軽度の認知機能障害や認知症患者における
認知機能も分析し、これらのデータと季節変動との関連性を調べた

その結果、夏季と比べて冬季の認知機能は低く、スコアの差は、約5年分の
老化による変化に相当した。
また、スコアは秋分の直前で最も高く、春分近くで最も低かった。

今回の結果を受け、Lim氏らは「認知機能が季節によって変化する仕組みを
特定できれば、その機能を改善する新しい方法が見つかるかもしれない」と
している。

認知機能に不安を持つ高齢者と関わりのある人は、冬季に一層注意深く
サポートをすると良いかもしれない。



https://kenko100.jp/articles/180928004678/#gsc.tab=0




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