原因不明の顔の痛み(口腔顔面痛)(非定型歯痛)

[原因不明の顔の痛み]

(家庭の医学  2016年10月25日)

<鎮痛薬が効かない…>
顔を締め付けられるような、あるいはうずくような痛みがあるにも
かかわらず、MRIやCTなどで検査をしても原因がわからない…
もしかしたら非定型顔面痛かもしれません。
その原因と治療法について紹介します。

非定型顔面痛では、上あごの奥歯辺りがうずく、頬を締めつけられるなどと
いった症状が現れます。
歯科では口腔顔面痛ともいいます。
鎮痛薬を服用しても効果がみられず、痛みのために口が開けられない、痛くて
動けないなどというように、日常生活に支障をきたします。

顔面の痛みという点で、まず三叉神経痛を疑うかもしれません。
しかし、神経に沿って発作的に激痛が走る三叉神経痛とは異なり、非定型
顔面痛では持続的にズキズキした痛み(疼痛)に悩まされます。
数カ月あるいは数年というように、長期間痛みが続く人は少なくありません。

あごの痛みや奥歯の痛みとして感じることも多いため、口腔内のみの場合には
非定型歯痛とも呼ばれます。
抜歯したり、歯の神経を抜いたりしても痛みが治まらないケースがみられ
ます。
また、外科的処置を行うことで、かえって痛みが広がったり増大したりする
傾向があるのもこの病気の特徴です。

MRIやCTなどで脳の検査を受けても、痛みにつながる原因が見つからない
ため、歯科・耳鼻科・眼科などさまざまな診療科を受診することも珍しくない
ようです。
なかには診断にたどり着くまでに数年かかったという声もきかれます。

原因はまだ明らかとなっていませんが、脳神経の情報伝達ネットワーク機能に
異常が起こり、痛みの感覚が処理できなくなっていると考えられています。
また、自律神経失調症や抑うつ傾向にある人、心理的ストレスを抱えている人
などに多く発症する傾向がみられます。

治療には抗うつ薬のアミトリプチリンが最も効果的といわれています。
そのほかにも、神経ブロック、鍼、漢方薬などの治療が行わることもあり
ます。
いずれも長い時間をかけて治療を行う必要があります。

思い当たる症状がある人は、神経内科やペインクリニックなど痛みの専門
外来、口腔顔面痛の専門外来を設けている病院へ相談するといいでしょう。
症状に合わせて心療内科と連携する場合もあります。

(監修:寺本神経内科クリニック院長 寺本純)

http://sp.kateinoigaku.ne.jp/kiji/123990/

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