軽井沢スキーバス転落事故の原因考

[軽井沢スキーバス転落事故 の原因考] <結論> 乗客のペットボトルかアルミ缶の飲料がブレーキペダル下にはまってしまい、 ブレーキペダルを踏み込めなかった。 <本文> 軽井沢スキーバス転落事故は、2016年1月15日1時55分頃、長野県 北佐久郡軽井沢町の国道18号碓氷バイパスの入山峠付近(軽井沢駅 約2kmの群馬県・長野県境付近)で、定員45人の大型観光バスが ガードレールをなぎ倒して道路脇に転落した交通事故である。 (Wikipedia) 当初、マスコミは事故原因について (1)運転が難しい軽井沢バイパスを通過した選択ミス (2)エンジンブレーキを使用していないフェード現象 (3)大型バスに慣れていない運転手 (4)事前の計画書と違うルートを走行した違法性 等の的外れな論調を繰り返しました。 もし、軽井沢バイパスの西行き(登り勾配)を運転できない技術力であれば、 首都高速の銀座近辺は運転できないことになりますし、上信越道の軽井沢 インターチェンジ付近の走行も困難になります。 仮に、どか雪が急に降って来たような状況では、優先的に融雪剤が散布される 上信越道の方が安全かもしれません。 (逆に、大量の雪が積もってしまえば、登坂車線を徐行通行できる軽井沢 バイパスの方が安全の可能性が高い) しかし、事故当日は積雪がなかったので、軽井沢バイパスを通ろうが 上信越道を通ろうが安全性に大差があるとは思えません。 真冬の深夜に下りコーナーを3〜4個曲がっただけでフェードするような ブレーキは車検を通りません。 全輪ドラムブレーキの骨董品のボンネットバスでもフェードはしません。 ギヤが何速に入っていようが関係ありません。 ギヤがニュートラル位置でも関係ありません。 何km/hからでもブレーキを踏めば車は減速し停止します。 大型バスと中型バスとでは車両感覚以外にも、ロールセンター(重心)や ロールスピードの違いがありますが、高速道路や軽井沢バイパスの登り勾配を 無難に運転できているので、大きな問題があるとは思えません。 事前の計画書はあくまで事前の計画なので、余程遠回りでもしない限り、 高速道路を走ろうが一般道を走ろうが、ドライバーの裁量の範囲内だと 思います。(建前法規上は問題ありなのでしょうが) 東京/新宿〜佐野間の路線バス・マロニエ号の場合、佐野プレミアム・ アウトレットでイベントがあると東北自動車道まで大渋滞するため、手前の 館林ICで降りて一般道の抜け道を利用します。 この際に、ドライバーが携帯電話で会社に連絡するのですが、ヘッドセット 使用で法規上は問題ないとしても、注意力が低下するのは確実です。 そうではなくて、事前に会社側が「今日はイベントがあって渋滞する可能性が 高いので、渋滞情報が出たら館林ICで降りても構わない。判断はドライバーに 一任する」と言えば事足りる話だと思います。 ドライバー(運転手)にもっと判断権限を委譲すべきだと思います。 私は学生時代に何回か夜行スキーバスを利用したことがあります。 社会人になってからも数回夜行高速バスを利用したことがあります。 かなりの頻度でペットボトルが床を行ったり来たりするのを目撃しました。 座席前の網ポケットやホルダーにペットボトルを入れておけば、そこから 飛び出すことはまずありません。 手に持っているペットボトルが、眠りとともに床に落ちる現象は珍しく ありません。 バスが加速すればペットボトルは後ろへ転がり、最後列の乗客の足下に 当たって止まります。 バスが減速すればペットボトルは前方に転がりますが、曲がりながら移動する ため、バス中央付近の椅子の土台部分に当たって止まることがほとんどです。 加減速に伴って、この前後移動をエンドレスで行います。 軽井沢の事故では、軽井沢バイパスの登り坂の間、転がったペットボトルは 最後列の乗客の足下にあったと想像します。 峠を越えて下り坂に入ると、ペットボトルは前方に移動します。 その時、最初のコーナー(カーブ)に向けて少し強めのブレーキを踏んだと すると、ペットボトルは最前方、すなわち運転席めがけてすっ飛んだと 想像します。 そして運悪く、ペットボトルがブレーキペダルの下に入り込んでしまったと 思います。 運転手はパニックになってブレーキペダルを何度も踏み直しますが、全く 踏み込めません。 パニックの中でハンドルを切り続けた結果が、公開されたカメラ映像だと 思います。 ミニバンにおいて、急ブレーキではなくて強めのブレーキを踏んだだけで、 小型犬がサードシート下から運転席脇まですっ飛んで来た軽減があります。 あと少しで、ブレーキ下に入りそうでした。 入門編のジムカーナやダートトライアル競技においてでさえ、ペットボトルは もちろん、完全固定の装備品以外、全て下ろさなければなりません。 フロアマットでさえ禁止です。 フロアマットが前方にずれて、ブレーキペダルの下で折りたたまれて、 ブレーキペダルを最後まで踏めないために事故に至る可能性は低くはありま せん。 軽井沢の事故では、運転手がペットボトル飲料を飲もうとして落としてしまい ブレーキペダルの下に入り込んだ可能性もあります。 しかし、この場合には原因が判っているので、サイドブレーキを引きながら、 シフトダウンして、車体を左側のガードレールにこすりながら減速することが できたかも知れません。 もちろん、運転手自身が落としたとしても、パニックになって何も出来ない 場合もありえます。 但し、あと数km進めば平坦路になり信号待ちも多くなるのに、あえて軽井沢 バイパスの区間でペットボトル飲料を飲む確率は低いと思います、 <対策提言> 軽井沢のバス事故の教訓を活かすのであれば、運転席周囲を壁で完全に覆う ことだと思います。 最低1mは必要でしょう。 左最前にあるドアへの通路が狭くなる可能性が高くなります。 通路確保のため、左側最前列の座席は撤去せざるを得なくなると思いますが、 それも仕方のないことだと思います。 さらに安全を高めるのであれば、運転席へのペットボトルの持ち込みも禁止 すべきです。 レーシングマシンのように、ボタンを押すとチューブから飲料が出てくる ようなシステムを導入すべきだと思います。 (横山歯科医院・横山哲郎)
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