認知症:高齢者への「人形療法」に効果 滋賀県立大

[認知症:高齢者への「人形療法」に効果 滋賀県立大]

(毎日新聞  2009年4月20日)


認知症の高齢者に赤ん坊の人形を渡すことで気分を落ち着かせる「人形療法」
は、それぞれの背景に合わせて使えば大きな効果があるとする研究結果を
滋賀県立大の畑野相子准教授(老年看護学)らがまとめた。

2001年ごろに国内で紹介されたものの期待ほどの効果が出ず、現在も続けて
いる施設は少ない。

同療法の研究は全国でも珍しく、畑野准教授は「研究を続け、療法として確立
させたい」と話す。


畑野准教授らは2007年から、54人の高齢の認知症患者が入所する大津市内の
グループホーム3カ所で研究。
素材や顔立ちの違う人形5体を患者に示して反応を記録し、それぞれの患者の
生い立ちや性格、症状などを考え合わせて、人形の効果を分析した。

その結果、54人のうち6人が人形に強い関心を示し、他の入所者に攻撃的な
態度をとったり、独り言しか話さなかった患者が落ち着きを取り戻すなどの
効果を確認した。
育児期などの、自分が記憶や判断力を失う前の時代を思い出し、安心に
つながったと考えられるという。

また、施設職員と会話が成り立たなかった患者が「この子のお母さんは?」と
職員に話しかけるなど、意思疎通できるようになった例もあった。

大津市際川の施設「出愛荘」では、中度認知症の女性(87)が本物の赤ん坊の
ような顔立ちの人形を「ぼんち」と呼んで可愛がり、穏やかな笑顔を見せた。
以前はいらつきがちだったが、人形を渡すと穏やかになる効果があったと
いう。


畑野准教授は「人形は特効薬ではない。人形だけに依存すると、悪影響が出る
場合もある。しかし、患者に応じて使えば効果がある」と話している。



(稲生陽)



http://mainichi.jp/select/science/news/20090420k0000e040055000c.html





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