咬合が原因だった片頭痛症例
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40代男性:友人歯科医師
左下7(第2大臼歯)のインレーが 取れたままの状態で放置していた。 歯ぎしりによって象牙質に細かなヒビが入り、 しみるようになった。
そこで、自分自身で鏡を見ながら、 コンポジットレジン(フロアブルレジン)を 充填したと言う。
しみるのを防止するための処置なので、 ほんの一層の充填ではあるが、 当然、対合歯の左上7と強く接触するようになった。 咬頭干渉=早期接触が起こった訳である。
しかし、 上顎の歯を咬合調整するのは自分自身では不可能なので、 そのまま放置した。 なるべく右側で噛むようにして、 左上7/左下7が強く接触しないように気をつけたと言う。
ところが、 その夜から頭部左側側面(側頭部)に頭痛が出現した。 「片頭痛」のように脈打つ感じで痛むこともあったという。
元々歯ぎしりがあったが、さらに歯ぎしりがひどくなった。
5日後、左下7のコンポジットレジン充填部が、 咬耗で磨り減ったのか、 歯ぎしりで弾け飛んだのか、 術前の状態に戻ったと言う。
その時点で頭痛は治まった。
頭痛の該当部は「側頭筋」の起始部であった。
つまり、側頭筋の筋肉痛、 すなわち「緊張性頭痛」が一過性に起こったわけであるが、 「片頭痛」のような症状が出たという。
これが、噛み合わせの悪化や 詰め物やかぶせ物(クラウン)の不調の場合は、 継続的に頭痛がすることになる。 そして、 その状態を「片頭痛」と診断されてしまう可能性もある。
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