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[歯周病治療における「ミニマル・インターベンション」]1960年頃まで、歯周病の原因は遺伝+不明要因とされていて、つまり治療法はありませんでした。その後、プラーク(歯垢)に生息する歯周病原因菌が主原因と考えられるようになり、徹底的な歯石除去、徹底的なプラークコントロールが必要とされました。その最終到達点がフラップオペでした。バブル期までは、いかに多くの「フラップオペ(歯肉剥離掻爬手術)」をしたかが歯周病専門医の勲章でした。バブル崩壊後、「ミニマル・インターベンション」の考え方が歯周病治療にも徐々に波及してきました。すなわち、フラップオペは極力しない方向になったのです。その背景には、遺伝学と免疫学の進歩があります。むし歯はストレプトコッカス・ミュータンスを中心とするむし歯原因細菌による「細菌感染症」であることが証明されています。ところが、歯周病はポルフィノモナス・ジンジバーリス菌を中心とする歯周病原因細菌による細菌感染症とは証明されていないのです。それは「コッホの原則」が成立しないからです。コッホの原則とは、ドイツの細菌学者ロベルト・コッホがまとめた、感染症の病原体を特定する際の指針のひとつです。(1)ある一定の病気には一定の微生物が見出されること(2)その微生物を分離できること(3)分離した微生物を感受性のある動物に感染させて同じ病気を起こせること(4)そしてその病巣部から同じ微生物が分離されること歯周病細菌原因説は「2.5」までしか満たしていないのです。「ファーストステップ治療(初期治療)」を行っても改善しないような重度、あるいは進行性の歯周病は、 ・遺伝的素因 ・咬合(噛み合わせ) ・免疫力の強弱 ・自己免疫疾患的側面等が複雑に関係していると考えられつつあります。歯周病専門医の多くはコッホの原則を無視して歯周病細菌原因説を信じているため、保険治療下での歯周病治療は歯周病細菌原因説に関連する手技だけが認められています。遺伝的素因や自己免疫疾患的側面は研究途中の段階です。将来、画期的な薬剤が登場してくるかも知れません。当院では、「咬合(噛み合わせ)治療」や「免疫力の増強」に取り組んでいます。<むし歯の動物モデル>むし歯研究が進んだ背景には「むし歯動物モデル」の存在が大きいと言われています。むし歯動物モデルが確立しているということは、コッホの原則が成り立つということであり、むし歯が細菌感染症であるという説明になります。一方、歯周病の動物モデルは単発では存在しますが、確立されているとは言えません。このことからも歯周病が複雑な機序で成り立っていていることがわかります。研究が進まないのも仕方のないことなのです。(参考文献:雑誌「実験医学」)
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