偽のワクチンで8000人の命を救った医師

[偽のワクチンで8千人の命を救った医師]

(2019年11月15日)(大紀元)

医学は高度な知識や技術によって人を救う学問であり、その知識を
どう扱うかは人の倫理観、道徳観に左右される。
世の中には偽のワクチンで人命を害する犯罪者もいれば、偽のワクチンで
8千人の命を救った功労者もいる。

この功労者とは、ポーランドの医師、ユージン・ラゾウィスキ氏である。

第二次世界大戦時、ラゾウィスキ医師はポーランドのスタロバ・ボラという
町で診療を行っていた。
ある日、一人の男性が突然ラゾウィスキ氏を訪ねてきて、彼に助けを求めた。
当時、数多くのポーランド人がナチスに連行されて強制労働をさせられて
おり、この男性もその一人だった。

男性は親族訪問のため2週間の休暇を得ていたが、休暇が残り少なくなるに
つれ、強制労働収容所に戻りたくない一心からこのままどこかへ逃げて
しまいたいという想いにかられた。
だがそんなことをすれば家族を巻き添えにする恐れがあり、思い詰めた男性は
自殺を考えるまで追い詰められていた。

そんな時、ある特殊な病気に罹れば収容所送りを免れることが出来ると知り、
ラゾウィスキ医師のもとへ相談に来たのである。

ラゾウィスキ医師は男性を助けるため、ある偽のワクチンを製造した。
このワクチンを注射すると発疹チフスの陽性反応を呈することが出来るが、
実際は病気には罹らない。
偽ワクチンを接種した男性の血液サンプルをドイツの実験室に提出した
ところ、発疹チフスという強い伝染病に罹っていると判断され、収容を免れる
ことになった。

当時のナチスドイツ当局は、発疹チフスを大変恐れていた。
第一次世界大戦時、多くの兵士が発疹チフスによって命を奪われたからだ。

ナチスはポーランドの医者たちに、チフス罹患者を発見した場合は速やかに
報告するよう求めており、報告があった際には血液サンプルをドイツの
実験室に提出させ、そこで最終的な診断を行っていた。

陽性反応を確認して罹患が確定すると、すぐに患者を隔離するという規定も
あった。

偽ワクチンでの最初の症例が成功すると、多くの人が接種を求めて
ラゾウィスキ医師のもとを訪れた。
そうして間もなく沢山の「発疹チフス患者」が現れ、この地域はすぐに
ナチス当局に「伝染区域」と指定され、隔離措置を取られるようになった。

この作業はラゾウィスキ医師が友人の医師と2人で秘密裏に行っていた。

偽ワクチンを接種した市民たちには何も知らせず、また、偽ワクチンの
製造には慎重を期して、本当の感染が起こらないよう用心もしていた。

だが、「感染者」が多く発生している中で死者が一人も出ていないという
この異常な事態は、当然ナチス当局から目をつけられた。

当局は調査チームを派遣して現地調査を行うことにしたが、これに対して
ラゾウィスキ医師らは次のような対策を講じた。
調査チームの上級医師たちを高級料理で接待している間に、偽ワクチンを
接種した人の中から健康状態が芳しくないように見える人を集めて汚い部屋に
閉じ込め、調査チーム内の下っ端の医師たちを連れて検査に行ったのである。
下っ端の医師たちは自分が感染することを恐れ、たった数人の「患者」から
採取した血液で陽性反応が出ると、早々に撤収した。

上級医師たちも同様に「危険区域」に踏み入りたくなかったため、
下っ端の医師たちが行った検査結果をそのまま認定し、現場から早々に
離れた。
そして二度と戻ってはこなかった。

この「伝染区域」はやがてユダヤ人の「天国」となり、多くのユダヤ人が
この区域に逃げ込んでナチスの連行を免れた。
3年の間に、偽のワクチンは約8千人のユダヤ人を救ったのである。

8千人もの命を救ったラゾウィスキ氏の実績は、第二次世界大戦中に
1200人のユダヤ人を救ったことによって有名になったドイツ人実業家、
オスカー・シンドラー氏の実績より遥かに大きい。
しかしあまり報道されていないため、この事実を知る人は少ない。

かつて「伝染区域」とされた町の住人たちが最近、ラゾウィスキ医師の
功績を讃えるための記念集会を行ったという。

(翻訳編集・東方)

https://news.livedoor.com/article/detail/17386339/

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