ママが味噌汁を飲むと赤ちゃんが安眠

[ママが味噌汁を飲むと赤ちゃんが安眠!?]

(あなたの健康百科  2019年11月07日)

日本では、若い人を中心に和食離れが進んでいる。

一方、海外では健康志向に加え、2013年のユネスコ世界無形文化遺産への
登録もあってか、和食への注目度は高い。

そうした中、和食の良さを後押しするような研究結果が、富山大学大学院の
研究グループから報告された。
「子どもの健康と環境に関する全国調査(エコチル調査)」に参加した
7万2,000組を超える母子のデータを解析したところ、妊娠中に味噌汁を
飲むことの多かった女性から生まれた子供は、あまり飲まなかった女性の
子供に比べて、1歳時点で睡眠不足になりにくいことが分かったという。

詳細は、PLoS One(2019; 14: e0222792)に掲載されている。

<7万2,000組超の母子を対象に解析>
人は通常、毎日決まった時間に起床・就寝し、おおむね一定のリズムで
生活している。
このリズムを「概日リズム(体内時計)」と呼ぶ。
概日リズムは、日光を浴びる時間帯や食事の影響を受け、乱れることがある。

幼少期に概日リズムが乱れて睡眠不足に陥ると、体の発達、特に肥満に
影響すると指摘されている。

子供の概日リズムに影響を及ぼす要因については、さまざまな角度からの
研究が必要である。

発酵食品の摂取は、腸内細菌叢に影響を与え、健康維持に役立つとの
情報が増え、関心を集めている。

また、母親の腸内細菌は子供に受け継がれるため、妊娠中の発酵食品の摂取が
子供の発達や生活習慣に影響を及ぼすといった報告がある。

さらに近年では、概日リズムが腸内細菌叢の影響を受けることも報告されて
いる。

こうした背景から、研究グループは今回、妊娠中の発酵食品の摂取が、
生まれてきた子供の睡眠時間に及ぼす影響について検討した。
解析対象は、エコチル調査に参加した7万2,624組の母子で、子供の年齢は
1歳だった。
妊娠中の発酵食品の摂取状況は、食事の摂取頻度に関するアンケート項目の
うち、味噌汁、ヨーグルト、チーズ、納豆についての回答を用いた。
また、子供の睡眠時間については、1日11時間未満を睡眠不足と定義した。

<妊娠中の味噌汁摂取で、子の睡眠不足リスクが低下>
対象を、妊娠中の味噌汁の摂取量で4群に分け、子供の睡眠不足との関連を
解析した。
その結果、味噌汁の摂取量(中央値)が最も少ない群(10g/日)に対して、
2番目に少ない群(32.1g/日)、3番目に少ない群(88.4g/日)、
最も多い群(225.0g/日)では、子供が睡眠不足になるリスクがそれぞれ
8%、13%、8%低下。
妊娠中に摂取する味噌汁の量が増えると、子供が1歳の時点で睡眠不足になる
割合が明らかに低くなることが示された。

一方、ヨーグルト、チーズ、納豆では、摂取量と睡眠不足との間に
関連は認められなかった。

研究グループは、今回の研究結果について「これまでに報告されていない
新規性の高い結果だ」と評価。
その一方で、研究の限界について「妊娠中に味噌汁を飲めば、生まれてくる
子供の睡眠不足を予防できるというものではない。妊娠中の食事と子供の
睡眠時間は、第三者が測定したものではなく、母親の記憶に頼った回答に
基づくもの。また、妊娠中に飲んだ味噌汁の成分や腸内細菌が子供の
睡眠時間に影響していたか否かを直接調べたわけではなく、味噌汁の
摂取以外の要因が関与している可能性も否定できない」と説明。
その上で、「結果を検証するため、今後さらに介入研究を重ねる必要がある」
とコメントしている。

https://kenko100.jp/articles/191107004962/

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