野菜や果物 朝にとると肌の敵になる可能性も

[野菜や果物 朝にとると肌の敵になる可能性も]

(家庭の医学  2019年8月5日)

<紫外線の感受性を高めるソラレンとは>
健康やお肌のために、朝食は「フレッシュな果実と野菜たっぷり」の
スムージーなどという方は、要チェック!
実はそれが原因で、逆に日焼けやシミが増える可能性があります。
一部のフルーツや野菜に含まれる、ある成分の性質を知り、賢く食べる
ポイントをおさえておきましょう。

柑橘系の果実や一部の野菜には、「ソラレン」という物質が含まれています。
体内に入ると紫外線の感受性を高める働きがある成分です。
これらを食べると、約2時間でソラレンが全身に行きわたり、皮膚表面にも
届きます。
皮膚表面にソラレンがある状態で紫外線を浴びると、肌荒れや炎症が起こり
やすくなるといわれています。

また、ソラレンがある状態で紫外線を浴びると、紫外線を極力吸収しない
ようにメラニンが生成され、赤みやシミ・ソバカス・色素沈着などに
つながるといわれます。

このような、ソラレンによる肌へのダメージは、「光毒性(または光感作
作用)」と呼ばれます。

ソラレンを多く含む主な食材は、果物では、レモン、オレンジ、グレープ
フルーツ、みかんなどの柑橘系や、イチジク、キウイ、アセロラなど。
野菜では、キュウリ、パセリ、セロリ、ブロッコリー、シソ、みつ葉、
春菊などです。

どれも多くの栄養素を含んでいて、健康に良いのも事実です。
野菜やフルーツに含まれるビタミンCなどはコラーゲンの生成を助け、
肌の回復にも役立ちますし、夏バテにも効きそうな食材ばかりです。
したがって、美肌のためには、「食べない」のではなく、賢く食べるコツを
身につけましょう。

いちばん注意したいのは食べる時間帯とその日の行動予定です。
ソラレンの光毒性による肌ダメージを回避することためには、紫外線が
多く降り注ぐ「日中には食べない」、「食べたら光を浴びない」ことが
大切です。

ソラレンは2時間ほどで全身に行き渡りますので、日差しの強い日の朝食に
食べてアウトドアに出かけてしまうと、肌に悪影響も。
朝食で食べる場合は、外出予定のない、あるいは屋内で過ごす日に
食べましょう。

ただし、ソラレンは約7時間で代謝されて体外に排出されるといわれます。
ソラレンを多く含む果実や野菜であっても、日没以降に食べれば翌朝には
光毒性が消滅。
肌への影響が気になるのであれば、夕食時に食べましょう。

朝のスムージーには人参、トマト、バナナ、ももなど、ソラレンを含まない
食材で作れば日焼けによるシミやシワを気にせず、おいしくいただくことが
できます。

現在では実行する人も少なくなりましたが、昔はキュウリやレモンの輪切り
などを直接肌にのせてパックする美容法が流行しました。
これも美肌作りにとっては逆効果で、刺激が強いうえに赤く腫れたりシミを
作る危険性があるのでやめましょう。

マッサージやボディクリーム代わりに使用するオイルに含まれる、
エッセンシャルオイル(精油)にも注意が必要です。
柑橘系のエキスなどが入っていると、ソラレンによる光毒性によって
肌にダメージを与えるリスクがあります。
特に日中の使用は控えましょう。

日光に対する感受性には個人差があります。日焼けしやすく焼けると赤くなる
タイプの人、強い日差しを浴びると湿疹ができたり、じんましん様の腫れが
起きる人などは特に、「ソラレン」を含む食材の摂取に気をつけてください。

(監修:医療法人誠医会 宮川病院 内科 宮川めぐみ)

https://sp.kateinoigaku.ne.jp/kiji/126211/

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