難聴の高齢者は物忘れを訴える人が多い

[難聴の高齢者は物忘れを訴える人が多い]

(あなたの健康百科  2019年07月31日)

耳が遠い(難聴の)高齢者は、そうでない高齢者に比べ物忘れなどを訴える
人が多いとの研究結果を、筑波大学と筑波技術大学の共同研究グループが
発表した。

結果を踏まえ、研究グループは「難聴と物忘れの因果関係について検証を
進め、難聴の高齢者に対して適切なケアを行っていくことが重要」と提言して
いる。

高齢化に伴う難聴の有病率は国内だけでなく、世界的にも増加している。
難聴になると、家族や友人とのコミュニケーションが難しくなり、買い物や
旅行などの外出活動に困難を感じるようになる。
さらには、抑うつや不安などの精神症状と関連することが知られている他、
認知症の危険因子である可能性が指摘されるなど、健康寿命に影響を与える
懸念があるという。

研究の対象は、厚生労働省による2016年の「国民生活基礎調査」に協力した
自宅で生活する65歳以上の高齢者13万7,723人(平均年齢74.5歳)。
このうち、「耳が聞こえにくい」と答えた1万2,389人と、そう答えなかった
人を対象に、心理面や外出活動、物忘れなどに及ぼす影響を調べた。
なお、加齢とともに聞こえにくさを訴える人の割合は上昇し、85歳以上の
約20%が該当していた。

<物忘れのリスクが7倍超に、心理的苦痛も>
解析の結果、「物忘れ」の症状を訴えた人の割合は、「聞こえにくい」人で
37.7%、そうでない人で5.2%であり、大きな差が見られた。
この数字を統計学的に分析したところ、難聴があると物忘れのリスクは
7.1倍、心理的苦痛のリスクは2.1倍、外出活動制限のリスクは2.0倍になる
ことが分かった。

今回の結果から、高齢者の難聴は物忘れ、心理的苦痛、外出活動制限と関連が
あり、中でも物忘れと強く関係することが示唆された。

研究グループは「加齢に伴う難聴に対して早期から適切に対応することに
より、物忘れなどを予防・軽減できる可能性がある。医療・社会的な対策が
期待される」としている。

https://kenko100.jp/articles/190731004901/#gsc.tab=0

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