しゃっくりが止まるメカニズム解明 福岡・聖マリア病院

[しゃっくりが止まるメカニズム解明 福岡・聖マリア病院の医師]

(西日本新聞  2019年7月1日)

動脈と静脈の二酸化炭素(CO2)濃度が一致すると、しゃっくりは治まる-。

聖マリア病院(福岡県久留米市)呼吸器外科の大渕俊朗医師(56)が、
しゃっくりが1週間以上続く重症患者に自分が吐いた息を繰り返し吸わせる
臨床試験を行った結果、症状は治まり、しゃっくりが止まるメカニズムを
解明できたとしている。

しゃっくりは、喉周辺の刺激を引き金に、呼吸運動(横隔膜の収縮)を調節
する延髄の中枢神経に異常な指令が伝わり、無意識に突然強く息を吸って
しまう現象。

脳疾患や抗がん剤の副作用などで2日~1カ月症状が続く患者もおり、
睡眠障害やうつ状態につながるケースもあるという。

止めるには短時間呼吸をしないなど、血中のCO2濃度を高めるのが効果的と
されてきたが、動静脈血の関連性やメカニズムは分かっていなかった。

大渕医師によると、安全性を確認した上で、重症の男性患者2人に袋を使って
自分が吐いた息を吸わせ続けたところ、3分前後で症状が改善。
同じ条件に置いた成人男性の血中CO2濃度を測定すると、通常は低い動脈血の
濃度が上昇し、3分前後で静脈血と同じになった。

「CO2濃度が上がり、大脳が窒息回避の指令を出したため延髄の活動が抑制
されたと考えられる」と分析。
昨年、英国と中国の医学誌に発表した。

これまで治療した約20の重症例全てで効果を確認。

大渕医師は「通常のしゃっくりは自然と治まるが、症状が続いてしまう
重症患者の生活の質を高める方法に生かしたい」と話し、安全にしゃっくりを
止める治療器具の開発に取り組んでいる。

「しゃっくり外来」を開設する友愛記念病院(茨城県古河市)の近藤司医師
(麻酔科)は「動静脈血のCO2濃度に着目した研究成果として興味深い。
ただ、しゃっくりは個人差が大きく、原因もさまざま。治療は医療機関での
安全管理が不可欠だ」としている。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190701-00010006-nishinpc-sctch


[関連項目]

・「吃逆(しゃっくり)と栄養医学


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