病院の紹介状 中には何が書かれている?

[病院の紹介状 中には何が書かれている?]

(家庭の医学  2019年6月28日)

<医師間の連携がスムーズに>
大学病院や総合病院などを初めて受診するとき、一般的にかかりつけ医からの
紹介状が必要になります。
紹介状がないと診察費とは別に料金がかかることは知られていますが、厳重に
封印され患者本人も開けられない紹介状、いったいどんな内容が書かれて
いるのでしょうか?
紹介状についてまとめてみました。

病院の紹介状は、正式には「診療情報提供書」と呼ばれます。
高度でより専門的な医療技術が必要になったり、大きな手術を受けなければ
ならなくなったりするときに、かかりつけ医から大学病院や総合病院に転院
する際に必要になります。

簡単にいうと、「こちらで診察していた患者さんをこのような理由で紹介
しますので、以降の検査・治療をよろしくお願いします」という書状に
なるのですが、中身は手紙だけではありません。

紹介状には、患者の基本情報(氏名、生年月日、性別、住所など)、疑われる
病名、主な症状や病状、それまでの治療経過・詳細、紹介の目的(さらに
専門的な検査や手術などの治療、入院など)、治療に際しての必要情報
(アレルギーの有無、併発している病気、病歴など)が詳しく書かれて
います。

必要であれば、紹介状に加えて、検査などの画像データなどが収められた
CD-Rなどが同封されることもあります。

紹介状制度の大きな目的は、医療情報の引き継ぎによって、受診時間や
手続き、費用の節約をすることです。
「ここを診断・治療してください」と焦点が絞られていることで、不要な
検査をすることもなくなり、また画像データなどを引き継ぐことで、一から
検査し直すのに比べて、治療までのスピードアップにつながり、体への負担も
軽減されます。

かぜなどの日常的な病気や症状、手術・入院を必要としないけがなどを
診るかかりつけ医と、専門的な治療をおこなう大学病院・地域の拠点病院
などとの分担を重視しつつ、紹介状によって連携をとり、適切な診断・治療を
受けられるようにすることも目的の一つです。

必要な情報以外に、「低侵襲の治療を希望されています」「手術への不安が
大きいようです」など、患者の希望や考え方などが書き込まれることも少なく
ありません。
ビジネスライクな書類ではなく、医師から医師への「うちの患者さんを
よろしくお願いします」という気持ちが込められたものでもあります。
紹介先を受診したあとは、その担当医からかかりつけ医に、電話や手紙・
文書などで経過や結果を報告してもらえます。

紹介状がなくても初診で受診することはできることもあります。
しかし一般的に診察費とは別に、5000円(歯科では3000円)以上の
「選定療養費」がかかります。
また、紹介状があると、初診でも予約ができる病院もあり、受診当日に
長い時間、待つ必要がないこともメリットです。
あらかじめ電話で問い合わせてみましょう。

かかりつけ医から他の病院を紹介される場合はいいのですが、自分からは
転院希望を言い出しにくいという人もいるようです。
しかし受けてみたい治療があるのなら、思い切ってかかりつけ医に相談して
みましょう。
希望を聞いて、ベストな病院や医師を紹介してくれたり、希望する病院・
医師があったりする場合は、詳細を調べてくれるはずです。

セカンドオピニオン外来を設ける病院もあります。
患者が医師や治療を選ぶ時代、患者自身も病気について理解をもち、納得して
治療を受けることが大切です。

なお、紹介状には有効期限のようなものはありませんが、時間が経つと病状が
変わり、紹介状の内容と異なってくることもあります。
検査や治療を急がない場合でも、1~2カ月のうちには紹介先を受診する
ようにしましょう。

また受付の際に独自に紹介状の有効期限を設けている病院もあるので、事前に
調べてから病院へ行きましょう。

(監修:東京医科大学病院 総合診療科准教授 原田芳巳)

https://sp.kateinoigaku.ne.jp/kiji/126110/

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