恐ろしいアメリカの医療費事情 ヘビに噛まれ約1590万円の請求

[ヘビに噛まれ約1590万円の請求 恐ろしいアメリカの医療費事情]

(TechinsightJapan  2019年5月7日)

アメリカでは国民皆健康保険制度がないこともあり、医療費が非常に高い
ことで有名だ。
たとえ民間の保険に入っていたとしても、盲腸の手術で1泊入院し、保険が
適用されて自己負担が20%でも100万円を超えるケースもあるという。

このほどアメリカのある家族が、ヘビに噛まれた娘の医療費に愕然とした
ことを明かした。
『New York Post』『ABC News』などが伝えている。

米インディアナ州モンロー郡ブルーミントンに住むジョシュア・ペリーさんと
シェルリ・ヨーダーさん夫妻の娘オークリーちゃん(10歳)は昨年7月、
親元を離れてイリノイ州ジャクソンフォールズのショーニー国立森林公園へ
サマーキャンプに行った。

友達と過ごす楽しいはずのキャンプだったが、オークリーちゃんはヘビに
右足のつま先を噛まれてしまったのだ。
同行していたキャンプカウンセラーはその場所からオークリーちゃんを背中に
おんぶして移動したが、この時キャンプカウンセラーは有毒のアメリカ
マムシに噛まれたのではないかと判断し、緊急通報した救急隊からの勧めも
ありヘリコプターを要請した。

そしてオークリーちゃんはヘリコプターにより、約80マイル(約128.7キロ)
先にあるインディアナ州の「セント・ヴィンセント・エバンズビル病院」へと
搬送された。
そこには連絡を受けて駆けつけたジョシュアさんとシェルリさんがオークリー
ちゃんの到着を待っていた。

つま先の指が少し変形してしまったオークリーちゃんだが、治療が終わると
念のためにインディアナポリスの「ライリー・ホスピタル・フォー・
チルドレン」へ向かった。
そこでは医師の観察下に置かれたが、ヘビに噛まれてから24時間以内には
退院することができた。

しかしこの後、家族は別の意味で怖い思いをすることになった。
今回の医療費として、総額142,938ドル(約1587万9千円)を請求された
のだ。
そこには救急医療ヘリコプターの代金55,577ドル(約617万円)、蛇の毒を
中和するための抗毒素4バイアルに67,957ドル(約752万円)も含まれて
いた。
また病院側からは、アメリカマムシの毒に唯一入手可能だった抗毒素
クロファブ1バイアルに16,989ドル(約188万円)も請求が発生していた。

このクロファブはロンドンを拠点とする製薬会社が販売しているが、独占権を
握っているために高価で、その価格は1バイアル3,198ドル(約35万4千円)
にもなる。
しかし病院が購入する際には安くなるケースがほとんどであるにも
かかわらず、セント・ヴィンセント・エバンズビル病院はそれを5倍の値段に
釣り上げて請求していたのだ。

アリゾナ大学の毒ヘビ研究センターの創立者であるレスリー・ボイヤー
博士は、「製薬会社はこの抗毒剤でかなり儲けを得ていますね。我が子が
毒ヘビに噛まれたら、親はどんなに高額でも払うでしょう」と話している。

ジョシュアさん夫妻はインディアナ大学で働いており、幸いにもインディアナ
大学医療保険に加入していたため、107,863ドル(約1,200万円)を保険で
賄うことができた。

さらにオークリーちゃんをサマーキャンプに行かせる際に加入した保険に
より、7,286ドル(約81万円)を追加で支払うことができたという。

また保険会社が各医療機関に価格交渉を行ったことで当初の請求額よりも
減額され、今回の医療費はすべて保険で補えたそうだ。

しかしジョシュアさんは医療保険業界の倫理的課題について教える立場に
あるものの、今回のオークリーちゃんの医療費にはかなりのショックを受けた
ようだ。
ジョシュアさんは「米国で保険によって“医療費が全て賄える”ことは滅多に
ありません。この国の医療システムはわかっていますが、今回は奇跡と
言えますよ」と語っており、「請求書を受け取った際に薬や他の保険会社の
市場調査(オンラインでも可能)をして、病院や保険会社と交渉することが
大切」とも訴えている。

なおオークリーちゃんは、今年もまたサマーキャンプに参加する予定との
ことだ。

(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)

http://japan.techinsight.jp/2019/05/masumi05040732.html

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