皮膚がんは顔にできやすい

[油断は禁物 皮膚がんは顔にできやすい?]

(家庭の医学  2019年4月25日)

<早期発見のために>
皮膚は、表皮、その下の真皮、そして最下層の皮下組織からなっていますが、
皮膚がんのほとんどは表皮にできるがんです。
基底細胞がん、有棘細胞がん、悪性黒色腫(メラノーマ)、乳房外パジェット
病などがよく知られています。
早期発見の手がかりとして、それぞれの特徴をまとめました。

皮膚がんの原因として最も多いのが紫外線です。
このほか、放射線による皮膚の障害、ウイルスに関連するものもあります。
また、悪性黒色腫(メラノーマ)などは足の裏にできることも多いことから、
外的刺激も危険因子とひとつと考えられています。
外的刺激には、やけどや傷痕なども含まれます。

基底細胞がんは日本人に最も多い皮膚がんで、顔、特に鼻とその周囲、
特に日光曝露部に発生することが多いがんです。

高齢者に多く、患者の半数近くが70歳以上で占められています。
黒っぽい膨らみが徐々に大きくなって腫瘤となり、中心がくぼんで潰瘍を
形成します。

ピンク色や白っぽい瘢痕(はんこん;傷などが直った後に皮膚に残るあと)の
ようなものや、ピンク色で表面にかさぶたに似たものがついた湿疹のような
ものなど、がんとわかりにくい場合もあります。

有棘細胞がんは基底細胞がんに次いで多い皮膚がんです。
患者は加齢とともに増加する傾向にあり、過半数がやはり70歳以上の高齢者で
す。

原因には、短期間で大量の紫外線を浴びた場合をはじめ、幼少期からの蓄積
された紫外線の影響もあり、日光がよく当たる顔や首、手の甲などに多く
発生します。
不規則な形の紅斑が徐々に大きくなって腫瘤になったり、出血しやすい
びらんや潰瘍を形成したりすることもあります。

有極細胞がんはしばしばやけどなど難治な傷のあとの瘢痕に生じることが
あります。
傷跡に再び腫瘤が出てきたり、びらんができて治りにくい場合は注意が必要
です。

悪性黒色腫(メラノーマ)は見た目がホクロとよく似た皮膚がんで、黒っぽい
シミのような色素斑が徐々に大きくなったり、盛り上がってきたりします。

全身のどこにでも発生しますが、日本人では手足の爪、足の裏、手のひらに
多い傾向がみられます。

乳房外パジェット病は、外陰部、わきの下、肛門の周囲などに発生する
皮膚がんです。
日本では男性に多く、女性は男性の2分の1から3分の1と言われています。

赤褐色の斑を生じ、かゆみがあることもあり、湿疹やたむしと間違われたまま
治療が遅れてしまうことが少なくありません。
進行するとリンパ節などに転移します。

皮膚がんの診断には視診と触診に加えて、ダーモスコピー検査が行われます。
ダーモスコピー検査とは、ダーモスコープという10倍程度の拡大鏡で病変を
観察するもので、熟練した観察眼が必要です。

また、確定診断には皮膚病理組織検査が必要です。

治療には外科治療のほか、外用薬、凍結療法、化学療法、放射線療法があり、
がんの種類や発生部位、進行度などによって選択されます。

早期発見のためのセルフチェックポイントとしては、今までなかったホクロや
イボ、シミができて徐々に大きくなっている、色や形が変わってきた、
じくじくしてきた、あるいは、なかなか治らない湿疹がある、出血がある、
などです。

痛みを感じることもないため、「ホクロだろう」「加齢によるシミだろう」
などと思っていて発見が遅れるケースは少なくありません。
すべてのがんは早期発見が重要ですから、気になるできものは放置せずに、
皮膚科専門医を受診することが大切です。

(監修:関東中央病院 皮膚科特別顧問 日野治子)

https://sp.kateinoigaku.ne.jp/kiji/125967/

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