真面目においしく忍者食を再現「かたやき小焼き」

[真面目においしく忍者食を再現]

(あなたの健康百科  2019年02月07日)

漫画や映画を通じて海外でも人気が高い日本の忍者。
戦国時代の忍者が情報収集や要人暗殺の任務を帯びて敵地に潜入する際、
1粒で1日分の食料になるという忍者食「兵糧丸」を携行していたという話を
聞いたことがある人も多いだろう。

最近、忍者にゆかりが深い場所にある大学が兵糧丸をモデルにしたお菓子を
つくり、販売していることをご存じだろうか。

<忍者を真面目に研究する研究機関と洋菓子店がコラボ>
この兵糧丸をモチーフにしたお菓子「かたやき小焼き(其ノ弐)」を共同開発
したのは、三重大学伊賀サテライト・伊賀研究拠点産官学連携アドバイザーで
名誉教授の久松眞氏と、ミラノ万博やお伊勢さん菓子博に出展した経験を持つ
三重県名張市の人気洋菓子店モンパクトルの大石成子氏、吉島星日子氏。

伊賀・名張地区は、服部半蔵や百地丹波、藤林正保などで有名な伊賀忍者の
本拠地があった場所として知られる。

伊賀研究拠点には
 (1)忍者に関する学術的・学際的な研究活動
 (2)忍者研究を基盤とした教育活動
 (3)忍者に関する学術的な情報交流と情報発信活動
を目的として2017年に設立された国際忍者研究センターという研究機関が
あり、久松氏も忍者に関する研究を数多く発表、国際忍者学会の設立などに
尽力している。

また、同大学は日本で唯一、産官学連携商品の認定を行っており、地域社会
への貢献、学生の教育実践、地産地消の一環として、地元企業と共同で
日本酒やビール、コーヒー、有機茶パウダー、ジビエカレーといった食品を
はじめ、せっけん、紙製試験管立てなどの大学ブランド商品を開発している。
今回の大学と洋菓子店のコラボレーションも、この制度を利用したものだ。

<忍者食のレシピを忠実に再現し、利用法を検討>
久松氏はこれまで、忍者関係の古文書『万川集海』『老談集』に記された
忍者食をできる限り忠実に再現し、その内容や利用法について科学的に研究
してきた。

古文書のレシピを調べると、忍者食は砂糖をベースに数種類の生薬を配合して
つくられていることが分かり、砂糖はエネルギー供給、疲労回復、ストレス
緩和、生薬は滋養強壮、疲労回復、鎮静・リラックスなどの効果を狙った
ものと考えられた(表)。

同氏は「忍者は、危険な場所で強いストレスに負けずに冷静かつ機敏に行動
することが要求される。活動中に体調やメンタルが変化した際のサポート役と
して忍者食を考案したのではないか。極度のストレスに直面したとき、砂糖
ベースの兵糧丸を少しずつ口に入れ、疲れた脳と体を回復させていたの
だろう」と推察。

こうした忍者の知恵はストレスが多い現代社会でも役立つと考え、忍者食を
モチーフにしたお菓子の開発に着手した。

<生薬を現代風にアレンジ。国内外の学生の協力も得て完成>
久松氏はモンパクトルと共同し、2016年度第1回みえ地域コミュニティ応援
ファンド(地域資源活用型)助成事業として、同店の人気商品「かたやき
小焼き」を兵糧丸風味にアレンジするプロジェクトを開始。
「かたやき」のルーツは伊賀忍者の携帯食とされ、伊賀地方で人気の郷土
銘菓。

お菓子の開発に当たり、吉島氏は5種類の生薬成分を身近な食材である
「蓮肉→ハスの実」「山薬→長芋」「桂心→シナモン」「ヨクイ仁→はと麦」
「ニンジン→朝鮮人参」にそれぞれアレンジして配合。
国内外のより多くの人においしく食べてもらうため、同大学や三重県立上野
高等学校の生徒をはじめ、セミナーなどで伊賀研究拠点を訪れた海外の
研究者、学生を相手に味やパッケージについてアンケートを行い、試作品の
改良を重ねた。

そうした努力が実り、ようやく昨年(2018年)に「かたやき小焼き
(其ノ弐)」が完成した。
従来のかたやきよりも柔らかくて甘みが強く、シナモンの香りが効いている
仕上がりになったという。
現在、三重大学上浜キャンパスの生協、モンパクトルの店頭ならびに
オンラインショップで販売されている。

https://kenko100.jp/articles/190207004769/#gsc.tab=0

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