病気で鼻にチューブを通した少女の写真を過激と削除 Facebook

[稀な病で鼻にチューブを通した少女の写真を「過激」と削除
                     Facebookに母親怒り(英)]

(TechinsightJapan  2019年2月7日)

Facebook上では稀にユーザーを不快にさせる映像や写真が投稿されている
にもかかわらず、イギリスのある一家が病を患う娘の笑顔の写真を掲載
ポリシーに違反するとしてその投稿を削除されてしまった。
一家はFacebook運営側に怒りを露わにしている。
『Mirror』『The Sun』などが伝えた。

エセックス州チェルムスフォードに住むシャイ・ウィンちゃん(9歳)は
31週の早産で誕生し、2012年からチューブを装着した生活を送っている。
シャイちゃんは非常に稀な喉頭奇形である「喉頭裂」で、喉の奥にV字型の
穴があり、気を付けないと食べ物や飲み物が全て気管へと入ってしまう。
この症状は歯磨きをする時にも微量の歯磨き粉が致命的となるために、
喉の奥に入らないように十分注意しなければならないほどだ。

シャイちゃんは、栄養を摂り脱水症状を起こさないために1日のうち
約17時間をチューブをつけて過ごしている。
なるべく前向きな気持ちを忘れないようにと、シャイちゃんはチューブに
「Piggy(ピギー)」という名前を付けて呼んでいるそうだ。

シャイちゃんは喉頭裂を患っているだけでなく、食べ物や胃酸、唾液を肺に
吸い込んで起こる誤嚥性肺炎や食道の運動障害、嚥下時の痙攣性疼痛、
胃不全麻痺などいくつかの健康問題を抱えており、4種の異なる薬を服用して
いる。
口から食べ物を摂取できないシャイちゃんは、いつかピザやコーヒーを
口にする日が来ることを切望しながら日々この疾患と闘っているのだ。

しかしこの病のために学校を休みがちになり、友達と一緒に出かけることも
できない状況は、やはり9歳の少女には辛く、時に沈む姿を見る母の
リンゼイ・ビッドウェルさん(40歳)は、家族で食事に出かける時でも
罪の意識を感じてしまうと話している。

「食べ物を口にできない娘にとっては、家族との外食も辛いだけでしょう。
娘にはフィンリーというチューブをつけている友人がいるのですが、
フィンリーと一緒にいる時だけ自分は普通だと感じることができると
娘は言うのです。」

シャイちゃんには兄2人と姉1人がいるが、学校も休みがちなことから
「寂しい」と口にしたシャイちゃんのそばにいるために、リンゼイさんは
IT企業での勤務を辞めた。
しかし家計が逼迫し、現在はパートで稼ぎながら自営で大工の夫リチャード
さんと一緒に生活を支えている。

そんなリンゼイさんは、この症状への注意喚起を促しながらチャリティ活動を
広めていこうと昨年、Facebookでシャイちゃんと同様の症状を抱える子供
たちのために「Shais Smile」というアカウントを設置した。

そこでチューブを鼻に通したシャイちゃんの笑顔を広告掲載したところ、
Facebook側から「写真は衝撃的かつ暴力的で過激。不適切でポリシーに
反するため掲載できない」と言われ、投稿を禁じられた上に写真も削除されて
しまった。
これを知ったリンゼイさんは激怒し、このように反論した。
「Facebook上にはもっと過激で衝撃的な投稿が他にもあるのに、娘の写真が
承認されないなんておかしいですよ。投稿した写真は他人を不快にするもの
なんかじゃありません。娘の写真を見た人は、むしろその笑顔から前向きな
印象を感じ取ってくれるはずです。毎日生きるために必死で闘っている少女
からのメッセージなんですよ。健気で前向きという以外に何があると
いうんですか。衝撃的でも過激でも暴力的でもありません。Facebookは
恥を知るべきです。」

シャイちゃん一家が抗議したことで結局、後にFacebook側は掲載を承認
した。
広告掲載において1日に1.5ポンド(約220円)、7日間で10.5ポンド
(約2300円)を払っているリンゼイさんからしてみれば、娘の写真にケチを
つけられたという不快な気持ちは今でも消えない。
しかしチャリティ活動を行っていくため、現在もアカウント「Shais Smile」
でこの病への注意を喚起している。

リンゼイさんによると、シャイちゃんは今年末に喉頭裂修復の手術を受ける
予定だが、その危険な手術が成功したとしてもチューブで栄養を摂取する
必要があるとされているそうだ。

毎日を精いっぱい生きるシャイちゃんに最も励まされているのは、そばにいる
母リンゼイさんに違いないが、リンゼイさんは「娘の勇気は多くの人を
インスパイアし、娘の優しさとユーモアのセンスには誰もが心動かされます。
そして何より、娘の笑顔にはみんなが心を溶かされます」と話している。

ちなみに、未だFacebook側からの謝罪はないそうだ。

このニュースを知った人からは、「チューブを通している他の人の写真は
そのまま掲載されてるし削除なんてしていないから、誰かが通報かなんかして
削除したんじゃない?」「確かにFacebookで過激な写真や画像を何度も
見たことがあるわ。なんでこの子のがダメなの? 万が一この写真で不快に
なる人がいたとしてもほんの少数でしょう」「前に過激な投稿を通報した
のに、Facebookは『ルール違反じゃない』って言って削除しなかった。
少女の写真は全然衝撃的でも何でもないじゃないか」「母親の怒りは
じゅうぶん理解できる。でも、なぜ我が子の病や写真を公表するんだろうか」
「だからそれは、この病の注意喚起をしたいからでしょう。全然恥じること
ないよ」「そうそう。Facebookこそが恥を知るべきだよね」といった声が
あがっている。

(TechinsightJapan編集部 エリス鈴子)

http://japan.techinsight.jp/2019/02/ellis04570129.html

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