閉経のためトランスジェンダーと誤解された無実の女性、男性刑務所に収容される(米)

[閉経のためトランスジェンダーと誤解された無実の女性、
                   男性刑務所に収容される(米)]

(TechinsightJapan  2018年12月6日)


このほどアメリカで行われた裁判の訴訟内容が、警察のずさんな行動を露わに
した。
正真正銘の女性である容疑者を、性別が男性のトランスジェンダーとみなし、
男性受刑者用の刑務所に勾留したのだ。
『Miami Herald』『New York Post』などが伝えている。

先月21日に米マイアミの連邦控訴裁判所で行われた裁判が、人々の関心を
集めている。
これは警察側の怠慢により一人の女性が大きな屈辱と恐怖を味わったことで
刑事訴訟を起こしたものだった。
女性はフィオル・ピチャルド・デ・ベロツさん(55)といい、ドミニカ
共和国で弁護士の仕事をしている。


フィオルさんが2013年11月4日、孫の出産に立ち会うためマイアミを訪れた
時のことだった。
マイアミ国際空港に到着した彼女は空港警察により麻薬所持の疑いで身柄を
拘束されてしまった。
そしてフィオルさんはマイアミ・デイド郡のターナ・ギルフォード・ナイト
刑務所に移送された。

フィオルさんはこの時、女性としてプライバシーが守られた場所で身体検査を
受けた。
女性警察官は密輸品を身体のどこかに隠していないか調べるため、衣服を
全て脱ぐように指示をした。
この時、女性警察官はフィオルさんから麻薬や密輸品などは確認できなかった
と報告している。

ところがフィオルさんは高血圧を患っているため、刑務所内の医師の診察を
受けなければならなかった。
フィオルさんは当時、閉経後の更年期障害の治療のためホルモン補充療法を
受けていた。
しかし、フィオルさんを担当したファトゥ・カマラ・ハリス看護師と
ロドリゲス・ガルシア医師は、女が服用しているホルモン剤をトランス
ジェンダーの男性が女性らしい膨らんだ胸にするためのものと決めつけて
しまったのだ。
ファトゥ看護師は「フィオルさんはトランスジェンダーで男性器がある」との
メモを医師に残した。
メモの内容を信じてしまったロドリゲス医師はフィオルさんの診察もせず、
ホルモン剤や性別について尋ねることもなく、男性器があると個人ファイルに
記載した。

これによりフィオルさんは女性の恰好をした男性のトランスジェンダーに
間違われたまま、約11キロ離れた男性受刑者のみが収容されているメトロ・
ウエスト刑務所に一時拘束された。
それは約10時間ほどだったが、フィオルさんの恐怖はただ事ではなかった。
彼女が刑務所内に入った途端、いきなり40人ほどの受刑者に取り囲まれ、
横目でジッと見られたり、笑い声をあげながら「マミー! マミー!」と
大声で叫ばれたりした。
女性だと気付かれた時に何をされるか分からないためトイレに行けず、
そのまま失禁してしまったそうだ。

連絡を受けた家族によって刑務所から出ることができたが、フィオルさんは
メトロ・ウエスト刑務所で再び服を脱ぎ女性であることを証明しなければ
ならなかった。
フィオルさんは当時のことを「検査の時に何人かの男性職員は笑って
いました。また私の裸の写真を撮っていた者さえいました」と語っている。

フィオルさんの恐怖と屈辱は計り知れないものがあった。
もともと弁護士であるフィオルさんは「米国憲法に違反し残酷でありえない
刑罰を受けた」として、国と郡の刑務所職員を訴えた。

しかし第一審では訴えが退けられたため、フィオルさんはそれを不服として
先月に控訴していた。

そして11月21日の第二審の裁判で、フランク・ハル裁判官はこのように
説明と補足をした。
「フィオルさんは医師や看護師に何度も女性であることを訴えたのにも
かかわらず、主張が受け入れられることはなかった。彼らは彼女の健康状態を
故意に無視し、頑なに性別を確認することを拒んだ。」
「物の分別がつく看守と医療関係者であれば、生物学的に女性である者を
男性収容刑務所に身柄を置くということがいかに不当かということを
知っているはずだ。」

裁判の結果はまだ先のことになりそうだ。


(TechinsightJapan編集部 MasumiMaher)


http://japan.techinsight.jp/2018/12/masumi12051400.html




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