気になるいびきを軽減したい

[気になるいびきを軽減したい]

(家庭の医学  2018年10月31日)


<横向きに寝て改善する場合も>
家族や旅の同行者に迷惑をかけるいびき。
なんとかしたいと思う人も多いでしょう。
病気が原因の場合はその治療をしますが、明らかな原因疾患がない場合でも、
いびきを軽減する治療法はあります。
どのようなものでしょうか。

いびきのほとんどは仰向けで寝たときに起こります。
仰向けになると、口蓋垂(のどちんこ)、軟口蓋、舌などが重力によって
喉の奥のほうに引っ張られて空気の通り道である気道が狭くなるためです。

また、寝た姿勢をとると鼻腔(鼻の内腔)の血流が増えて粘膜がうっ血し、
鼻腔が狭くなるため、鼻炎などがある場合はいびきをかきやすくする要因と
なります。


いびきを招く病気としては、鼻中隔彎曲、アデノイド、鼻炎や副鼻腔炎、
極端な肥満などがあります。
その場合は、原因となる病気の治療を行うと、いびきも軽減されます。
いびきが気になるなら、耳鼻咽喉科やいびき外来、睡眠呼吸障害センター
などを受診して、
まず、原因となる病気の有無を診断してもらいましょう。


病気が原因でないとわかった場合、いびきを軽減する簡単な方法のひとつと
して、体位(寝相)矯正があります。
具体的には横向きの姿勢で寝ることで、仰向けで寝るよりも気道を狭める
ことが少ないため、いびきをかきにくくなります。
横向きを保持するための枕も販売されています。


横向き寝であまり効果が感じられない場合は、マウスピース(スリープ
スプリント)を用いる方法もあります。
マウスピースを睡眠時に装着することで下顎を数ミリ突き出させて舌が喉の
奥に落ち込まないようにし、気道の閉塞を改善します。
ただし、マウスピースは歯ぎしりの症状があったり、睡眠時無呼吸症候群と
診断されないと保険適用になりません。
また、一人ひとりの口に合ったものを作るためにセファログラムという頭部と
顔面のⅩ線写真を撮影するので、多くは歯科・口腔外科への受診が必要に
なります。


口周辺の筋力が低下していると、仰向けに寝たときに舌の位置がさらに喉の
奥に引き込まれるようになります。
この場合、マウスピース治療だけでは効果が出にくいため、口腔筋機能療法
(MFT)を並行して行います。
MFTにはいくつかの方法がありますが、一定の動きを繰り返すトレーニングで
舌や口の周りの筋肉を鍛えます。
また、正しい姿勢を保ち、口呼吸を鼻呼吸にするなど、正しい呼吸を習慣化
するプログラムもあります。


これらの保存療法で効果がみられない場合には、手術も検討されます。
口蓋垂・軟口蓋・咽頭形成術(UPPP)と呼ばれるもので、口蓋垂や扁桃
などを切除・形成することで気道を広くすることが目的です。
最近ではレーザーを用いた方法(LAUP)も広がりつつあります。
手術に関しては、合併症のリスクも完全には否定できないため、その是非に
関しては医師の間でも意見が分かれるようです。
手術については医師から十分な説明を受けたうえで最終的な手段と考える
べきでしょう。


(監修:はくらく耳鼻咽喉科・アレルギー科クリニック院長 生井明浩)


https://sp.kateinoigaku.ne.jp/kiji/125572/




No tags for this post.
カテゴリー: いびき症/睡眠時無呼吸症, た態癖/生活悪習癖,  MFT口腔筋機能療法,  顔学 パーマリンク