飲酒で記憶が飛ぶメカニズム

[アルコールの飲み過ぎによって「記憶が飛ぶ」現象はなぜ起こるのか?]

(GIGAZINE/ギガジン  2018年10月3日 )


仕事が終わった後や休日に思う存分お酒を飲んで、アルコールがもたらす
酔いに身を任せて楽しむことは、ストレス解消にとても役立つものです。

一方であまりにもたくさんお酒を飲み過ぎると、「昨日お酒を飲んでからの
記憶が全くない」という風に、記憶が飛んでしまうことがあります。
なぜお酒で記憶が飛んでしまうのか、どれくらいの人がいわゆる「ブラック
アウト」を経験しているのかなどを、BBCがまとめています。


飲酒によってもたらされる記憶が飛ぶ現象は、アルコールの作用によって
脳の記憶に関わる器官である海馬の働きが阻害され、長期記憶が保存されなく
なってしまうことが原因です。
アメリカの国立アルコール乱用・依存症研究所のアーロン・ホワイト氏は、
「飲酒による記憶障害は、記録用テープの途中が切れてしまうようなもの
です」と述べています。

また、ある人が大量に飲酒をして、後で記憶をなくしてしまう状態に陥った
場合でも、他の人から見てその人が「後で現在の記憶が飛んでしまう状態」か
どうかは判別できません。

以前の研究では、記憶が飛ぶほどの飲酒をした被験者であっても数分前の
出来事を思い出したり、簡単な計算問題をこなすことができました。

しかし、実験から30分が経過すると、自分が何をしたのか、身の回りで
何が起きていたのかといった飲酒時の記憶が飛んでしまったとのこと。

アルコールの過剰摂取によって記憶が飛んでしまうという経験がある人は、人々が想像する以上に多いそうです。
アメリカで行われた1000人の大学生を対象にした調査では、「少なくとも
1回以上はお酒で記憶をなくしたことがある」と回答した人の割合は、
66.4%にも上りました。
さらに、4600人以上を対象にした別の研究では、男性被験者の52%と
女性被験者の39%が少なくとも1回はお酒で記憶をなくしたと報告しており、
21%の男性と11%の女性は過去1年間で3回もお酒で記憶が飛んでいると
回答しました。

本来であれば飲酒が禁じられている10代の若者の間でも、お酒で記憶を
なくした経験を持つ人は少なくありません。
2012年から2013年にかけて行われた研究では、1年前に中学校を卒業した
ばかりの10代の若者2140人を対象にアンケートを行った結果、「これまでに
飲酒をしたことがある」と回答した若者の割合は68%にも及んだとのこと。
それだけでなく、20%もの若者が「飲酒で記憶が飛んだ経験がある」と答えた
そうです。


どのくらいの量のアルコールを摂取したら記憶が飛ぶのかという点に
ついては、個人差があります。

また、「記憶が飛んだ経験があるかどうか」という事実に相関が見られる
要素として、「平均して1カ月間にどれほどの量の飲酒をしたか」という
ものがあるとのこと。
当然といえるかもしれませんが、日常的に大量の飲酒をしている人は記憶が
飛んでしまう可能性が高いようです。

遺伝的な要因も「お酒によって記憶が飛ぶかどうか」に関連しており、双子を
対象にした大規模な研究では、遺伝的要因が飲酒によって「記憶が飛ぶ」
経験の有無に大きく関わっていることが判明しました。

また、母親が飲酒で問題を抱えている人々は飲酒による記憶障害が起きやすい
とのこと。
飲酒問題を抱えた母親を持つ人の中でも、女性よりも男性のほうが2倍以上も
飲酒で記憶が飛びやすいこともわかっています。


アルコールで酔っ払うことは非常に気持ちがいいものですが、記憶が飛んで
しまうと知らないうちに警察沙汰を起こしたり、悪質な行為の被害を受けて
しまったりする可能性があります。
特に女性の場合、飲酒で記憶をなくした状態になってしまうと、望まない上に
危険な性行為に及ぶ可能性を増やしてしまいます。
また、そのような被害に遭った女性が主張しても、「記憶が飛んだ女性の
証言は信頼できない」として、信頼できる証言として受け入れてもらえない
ことが多いとのこと。

飲酒をする時には自分のアルコール許容量を自覚し、どれだけ気分がよく
なっても、記憶が飛んでしまうほど飲まないことが重要かもしれません。



http://news.livedoor.com/article/detail/15395152/




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