神経内科を「脳神経内科」に科名変更

[神経内科を「脳神経内科」に科名変更]

(家庭の医学  2018年9月10日)


<迅速な受診の実現をめざして>
「神経内科」と聞いて、どんな病気が対象かわかりますか。
心療内科や精神科と間違える人が多く、脳卒中や認知症などの患者さんが
受診できることがあまり知られていなかったようです。

診療内容の理解向上のため、「脳神経内科」への科名変更が日本神経学会から
発表されました。

神経内科という標榜科目が認可されたのは1975年。
以来、神経内科という診療科は目にしてきたものの、眼科や耳鼻咽喉科など
部位がはっきりしている名称に比べ、どこを診てくれるのか、わかりにくい
印象がありました。

いまだに、心療内科や精神科との違い、脳神経外科との役割分担などが正しく
理解されにくい面があったのは否めません。

そこで、日本神経学会は2018年3月、よりわかりやすく、広く利用して
もらえる診療科であることを伝える目的で、学会として標榜する診療科名を、
神経内科から脳神経内科に変更すると発表し、会員医師に呼びかけました。

今後、しばらくは行政上の浸透に時間がかかるので、神経内科と脳神経内科の
両方の名称を見かけることになりますが、この2つは同じ領域を診てもらえる
科だと知っておきましょう。

脳神経内科(神経内科)は、脳や脊髄、神経、筋肉の病気を診察し、脳神経
外科の内科側のカウンターパートとして位置づけられています。
体を動かすうえで感覚に異常をきたした場合、あるいはものを考えたり
覚えたりする認知機能に支障をきたしたときなどは、この科が扱う病気である
可能性が高くなります。

症状としては、手足のしびれ、めまい、うまく力が入らない、歩きにくい、
ふらつく、つっぱる、ひきつけやけいれん、むせる、話しにくい(ろれつ
が回らない)、ものが二重に見える、頭痛、勝手に手足が動く(不随意
運動)、物忘れ、意識障害などを訴えたときが対象になります。

病名としては、認知症、脳梗塞、てんかんなどをはじめ、パーキンソン病、
多発性硬化症などの神経難病や神経変性疾患、さらにジストロフィー症や
筋無力症のような筋疾患まで、非常に幅広い範囲の病気が対象となって
います。

診察では、神経学的検査という、神経の働きを診る検査を行います。
病歴を詳しく問診し、MRIなどの画像診断や、さまざまな検査で正しい評価を
導き出します。

脳や神経に関連していて、気になる症状があったときは、まず脳神経内科を
受診し、どこの病気が原因で症状が起きているのかを鑑別してもらうことが
大切です。

受診後は、骨や関節に異常があれば整形外科、精神的な病気であれば精神科、
手術を要するなら脳神経外科など、ほかに受診が必要なときは、適切な科を
紹介されるでしょう。

脳や神経にかかわる症状で、どこの科にかかったらよいかを的確に判断す
るのは、素人にはむずかしいものです。
今後、脳神経内科という診療科名が普及することで、適切なタイミングで
治療を受けられる人が増えることが期待されます。

(監修:寺本神経内科クリニック院長 寺本純)


https://sp.kateinoigaku.ne.jp/kiji/125462/




No tags for this post.
カテゴリー: し神経内科, てんかん(癲癇), に認知症, の脳卒中, パーキンソン病 パーマリンク