体の機能低下を補うチタン

[体の機能低下を補うチタン]

(家庭の医学  2018年8月29日)


<体にやさしい金属素材>
チタンが、体内のさまざまな医療機器に使われていることをご存じで
しょうか。
病気やけがで損傷した部位を、チタンを用いた人工物で補完したり、代用する
ことができるようになっています。

生体親和性が高く、さまざまなメリットをもつ素材のひとつです。
チタンは、軽量で強く、耐食性、非磁性(磁石につかない)などに優れた
金属です。

その特性により、航空機や家電の部材をはじめ、人工骨などの医療機器として
幅広く活用されています。

鉄や銅などほかの金属のように錆びることがなく、金属アレルギーが発生する
心配がありません。

汗や体液でイオン化して溶け出したりせず、もし何らかの原因でイオン化
しても、ただちに酸化して皮膜を再形成し溶け出すことがないなど、
「生体親和性」のある素材です。

そのため、皮膚に接触するものや、体内に長期間埋め込んでおく医療機器など
でも、安心して使うことができます。

熱くなったり冷たくなったりしにくい、熱伝導性の低いところも、部材に
用いる際に適しています。

非磁性(磁石につかない)という性質は重要で、チタン製の人工関節や
スクリューなどが体内にあっても、MRI検査(強力な磁場と電波を利用して
体内の状態を撮影する検査)を受けることができます。
チタン以外の金属物ではMRI検査が制限されることがあります。

また、骨と結合するという特徴もあります。
たとえば、チタンを用いた歯のインプラント(人工歯根)を、あごの骨に
埋め込むと、体に異物として認識されないため、ある程度の時間が経過すると
骨と結合し、安定します。

これらの性質により、人工骨や人工関節など、体の機能を補う「高度管理医療
機器」の材料などとして、チタンおよびチタン合金が利用されています。

人工関節の場合、10年、20年と長期間体内に留置することができ、骨折
治療に用いる際には、骨の中心である髄に埋め込んで使われます。


また、チタンとニッケルの合金であるニチノールは形状記憶機能があるため、
血管や尿管などに埋め込まれ、閉塞しないように支えるステントとしても使用
されています。


さらに、近年は、3Dスキャナーとプリンタを使い、一人ひとりに合わせた
チタン製の義肢をつくるなど、新たな研究・開発が進められています。
開発が進めば、デザイン性や再現性に優れ、生体で損なわれた機能を十分に
補いながら、コストを抑えることが可能になります。
今後も、体のさまざまな機能をサポートする素材として、チタンのより有効な
活用が期待されます。


(監修:あそうクリニック院長 麻生伸一)


https://sp.kateinoigaku.ne.jp/kiji/125438/




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