予想以上に多いサッカー青少年の心臓突然死

[予想以上に多いサッカー青少年の心臓突然死]

(あなたの健康百科  2018年08月28日)


<イングランドサッカー協会が選手1万人超を追跡調査>
英・イングランドサッカー協会(FA)が過去20年間にスクリーニングを
行った16歳前後の会員約1万1,000人を追跡調査した結果、サッカー選手
266人当たり1人に突然死を引き起こす可能性がある心疾患が見つかり、
心臓突然死の発生率は10万人当たり6.8人と予想以上に高いことが、医学
専門誌N Engl J Med(2018; 37: 524-534)に報告された。

心臓突然死の原因の多くが16歳時に検出されなかった心筋症だったことも
判明し、FAは直ちにスクリーニング機会を増やす対策を講じている。



<選手の心臓突然死データは不足>
心臓突然死は、年齢が若く(35歳未満)、一見健康なアスリートでも起こり
うる。
その発生率は正確に把握されておらず、青少年アスリート集団における心疾患
スクリーニングのデータは不足している。

今回、研究者らは1996~2016年にFAの心臓スクリーニング(問診票、身体
検査、心電図、心エコー検査)を受けたサッカー選手1万1,168人(平均年齢
16.4歳、男性95%)を対象に検討した。



<突然死の多くは未検出の心筋症>
スクリーニングの結果、42人(0.38%)で心臓突然死を引き起こす可能性が
ある心疾患が検出され、その9割以上は症状がなかった。

この42人は、可能であれば治療を受け7割が競技に復帰した。
40人は生存、2人は医師による競技禁止の指導に従わず、その後死亡したと
いう。

一方、先天異常または弁膜異常は、225人(2%)で発見された。

スクリーニング後の全死亡例23人中8人は心臓突然死で、うち7人の原因は
心筋症と判明した。

また、6人はスクリーニング結果が正常だったにもかかわらず、平均6.8年
後に心臓突然死していた。

検討結果から、青少年サッカー選手における心臓突然死の発生率は10万人
当たり6.8人と推計され、最近のマスコミ報道や保険請求に基づく推計
(10万人当たり0.5~2人)の3倍に上った。



<スクリーニング機会を増やす>
研究者らは「心臓突然死の大半は、生前に検出可能な先天性または遺伝性
疾患によるものとみられ、非常に痛ましい。今回、16歳時のスクリーニング
では、遺伝的素因がある心筋症の一部を見逃す可能性が示唆された。さらに
継続的な評価が必要かもしれない」と指摘。


この結果を受け、FAは直ちに18歳、20歳および25歳時にスクリーニングを
追加し、連続的な評価を行うことを決定した。



https://kenko100.jp/articles/180828004649/#gsc.tab=0




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