子どもの近視の治療法

[子どもの近視の治療法]

(家庭の医学  2018年8月8日)


<早めの対応が重要!>
お子さんが「黒板が見えづらい」などの症状を訴えたら、早めに眼科を受診
することが重要。
仮性近視といわれる初期段階であれば、近視の進行をある程度抑えることが
可能です。
検査で視力低下を指摘されたら、早めの対策が望まれます。


仮性近視(偽近視)とは、一時的な近視の状態をいいます。


人はものを見るときに、水晶体の厚さを調節し、ピントを合わせています。
この調節を行っているのが毛様体筋です。
近くを見るときは毛様体筋が収縮し、遠くを見るときは緩まります。

しかし、毛様体筋の収縮が続くと過度な緊張状態になり、調節がうまく機能
しなくなります。
そのため、一時的に近視になってしまうのです。

さらに緊張状態が続くと真性近視に進んでしまうため、早めの対処が必要
です。

眼科を受診すると、近視予防治療として、毛様体筋の緊張をとる点眼薬が処方
されます。
しかしながら、効果には個人差があり、2~3か月点眼しても効果がみられ
ない場合は、処方は中止されます。


近年注目されているのが、低濃度アトロピン点眼薬による治療です。
これはアトロピンという薬剤を0.01%濃度に薄めたもので、毛様体筋を緩める
作用などによって近視の進行を抑える効果があるとされます。

これは、シンガポール国立眼科センターの研究によって開発された薬で、
近視の進行を平均60%ほど抑えられるそうです。

日本国内では保険適用外ですが、この薬剤による治療を行う眼科は増えて
います。


そのほかに、調節緊張緩和装置を使用した、毛様体筋の緊張を緩める
トレーニング方法などが行われることもあります。
これは装置の中の風景を5分ほど眺めることで、目の緊張を和らげるという
ものです。


大切なのは、仮性近視の進行を防ぐ生活です。
勉強や読書をする際は、明るい場所で正しい姿勢で行いましょう。
また、テレビゲームなどで近くばかりを見続けていると、近視が進むと
いわれています。
必ず目を休める時間をとりましょう。
子どもの場合、自己コントロールが難しいので、大人がしっかり管理する
必要があります。


また、太陽光の一部であるバイオレットライトが近視の進行を抑えることも
わかってきました。
強い紫外線は避ける必要はありますが、1日2時間程度は屋外で過ごし
ましょう。
遠くの風景を眺めることも、毛様体筋の緊張緩和に役立ちます。


(監修:梶田眼科院長 梶田雅義)


https://sp.kateinoigaku.ne.jp/kiji/125395/


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