視覚は選べる感覚 聴覚は選べない感覚

[人は見た目が100%ではない! 脳に影響する感覚とは]

(日刊スポーツ  2017年11月23日)


<本日のごのへのごろく 「癒される 好きだな、を生む 耳情報」>
「人は見た目が100%」なんてドラマもありましたが、大事なのは見た目
だけでしょうか?

目から得る“視覚情報”は確かに印象に残りますが、見た目のイメージは
だんだん変わりますよね。
「はじめは恐そうだと思ったけれど優しかった」とか「キレイな人だけど
話してみたらキツい感じだった」などなど。

それは、耳から得る“聴覚情報”が大きく影響しています。

連載『ごのへのごろく』トーク編第35回、今回は「聴覚は脳に大きく作用
する」です。



<視覚と聴覚の違いを考えよう>
視覚は“選べる感覚”です。
見たくないものには視線を送らなければいいし、目を閉じてしまえばいい。

一方、聴覚は“選べない感覚”です。
どんなに聞きたくなくても音がすれば耳に入ってしまいます。
時計の秒針の音や、遠くの工事の音が気になってしまうこと、ありますよね。



<ガガガッ・ゴーッも避けられない>
そして聴覚は、無意識に入ってくる情報が多い感覚です。

カフェでコーヒーを飲んでいれば、自分がカップを持つ音と、ゴクリと飲む
音だけでなく、店内のBGMや、周りの人の話し声、定員が注文を受けている
声、コーヒーの機械の音、エアコンの音・・・同時に大量の音が耳に流れ
込んできます。

全ての音を意識して聞いているのではなく、耳には入ってきているけれど、
聞き流している音が常に無数にあります。



<「好きだな」を生み出す本能感覚>
さらに、聴覚は、本能と繋がっている感覚です。

黒板に爪を立てる「キーッ」という音は、聞いた瞬間に「イヤだな」と思う
人がほとんど。
川のせせらぎを聞くと「癒されるなぁ」と思う方が多い。


これは「好き・嫌い」という本能が、聴覚から得た情報で作り出されるという
こと。

ここまでをまとめると、私たちは耳から、無意識の意識も含めて大量の情報が
入り、その大量の音に対して本能的に「好き・嫌い」を感じている、という
こと。



<脳の活性化は90%が音による>
聴覚心理学と音声学の学者による研究報告で「脳の活性化は90%が音によって
なされる」と発表されました。
そのくらい音は脳への影響が大きいんです。



<脳に影響する音のひとつが「声」>
声は音の一種ですから、声も脳の活性化に大きく関わるということ。
声を聞くだけで「好き」あるいは「嫌い」と思うこと、ありますよね。
声を発するだけで「好きだな」「良いな」「癒されるな」と思われれば、
その人そのものが評価され、愛される存在になるものです。

そして自分の声が「イヤだな」「嫌いだな」と思うのは辛いことです。
「イヤだな」と思う声を聞き、自分の声を聞いてまた「イヤだな」と
思ったら、ますます声が出しづらくなります。



<驚愕の「8割が自分の声が嫌い」>
取材させていただいた声の専門家・山崎広子先生が行った意識調査によると、
日本人は8割が自分の声が嫌いなのだそうです。

海外ではこんな高い数字は出ないそうで、国民性を表していると言えます。

ただ、悲観する必要はなく、誰でも素敵な声を出すことは可能です。


https://www.nikkansports.com/entertainment/column/gonohe/news/201711230000357.html


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