口腔内の歯周病菌が大腸がん発生に関与

[口腔内の歯周病菌が大腸がん発生に関与!?]

(あなたの健康百科  2018年07月31日)


横浜市立大学肝胆膵消化器病学内視鏡センター診療講師の日暮琢磨氏らは、
大腸がん患者の患部組織と唾液中の口腔常在菌の一種である
フソバクテリウム・ヌクレアタムを解析。

患者の4割以上でがん組織と唾液に遺伝的に同一のフソバクテリウム・
ヌクレアタムが存在したことを、Gut(2018年6月22日オンライン版)で
報告した。

同氏は「この結果から、口腔内の歯周病菌であるフソバクテリウム・
ヌクレアタムが、大腸がん発生に関与する可能性が示唆された」と述べて
いる。



<口腔内の細菌が大腸がん組織へ移行>
近年、大腸がんの病態や予後にフソバクテリウム・ヌクレアタムが悪影響を
及ぼすという報告が増え、注目されている。

しかし、これまでヒトの腸内からフソバクテリウム・ヌクレアタムが検出
されることは少なく、大腸がん組織におけるその感染経路は不明だった。

そこで日暮氏らは、口腔内に存在するフソバクテリウム・ヌクレアタムが
大腸がん組織へ移行しているとの仮説を立てて検証を行った。

同氏らは、大腸内視鏡検査で大腸がんと診断された84例のうち、1カ月以内の
抗菌薬使用歴がないなどの条件を満たした患者14例(男性10例、女性4例、
平均年齢69.4歳)を対象に、内視鏡を用いて採取した大腸がん組織および
唾液検体から361のフソバクテリウム・ヌクレアタムを検出した。

このうち8例では、大腸がん組織と唾液の両方からフソバクテリウム・
ヌクレアタムが検出された。

さらに、これら8例を解析したところ、6例において大腸がん組織と唾液から
検出されたフソバクテリウム・ヌクレアタムが同一の菌株であった。

以上から、同氏は「フソバクテリウム・ヌクレアタムは健康人の多くが
口腔内に保有する常在菌の一種であり、歯周病の悪化にも関与することが
報告されている。近年では、大腸がん悪化への関与が強く疑われている。
今回の研究の結果、口腔内と大腸がん組織におけるフソバクテリウム・
ヌクレアタムの遺伝的性質が同一だったことから、口腔内のフソバクテ
リウム・ヌクレアタムが大腸がん組織に移行、感染していることが示唆
された」と結論した。

さらに「今回得られた知見により、口腔内や腸内の細菌を調べることで
大腸がんの簡便な診断法を開発できる可能性や、口腔内、腸内細菌を制御
することが大腸がんの治療や予防につながる可能性が示唆された。今後は
分子生物学的手法も取り入れて、より多くの大腸がん患者を対象に研究を
進めて行く予定だ」と述べている。



https://kenko100.jp/articles/180731004632/#gsc.tab=0




No tags for this post.
カテゴリー: がん/癌/ガン, し歯周病, だ大腸 パーマリンク