双胎間輸血症候群

[双胎間輸血症候群]

(Wikipedia)


双胎間輸血症候群とは、一卵性双胎児が胎盤を共有した状態(一絨毛膜
双胎)のときに、共通胎盤上の吻合血管を通して引き起こされる血流移動の
アンバランスによって両児の循環不全を生じる病態を指す。


<病態>
胎盤を共有するというのは以下のような状態を指す。
胎児は臍帯動静脈を介して胎盤の小部分である胎盤小葉でガス交換や物質
交換をしているが、一絨毛膜胎盤の胎盤小葉では一方の児から流れ込んできた
血液が、他方の児の側に戻っていくことがしばしばある。

すなわち両児間で血液が行き来し、循環を共有しているということになる。

このような場合、全例ではないが、それぞれの胎児への血液供給のバランスは
往々にして取りにくくなり、一方の胎児からもう一方の胎児へ胎盤を通して
血液が流れることがある。

すると受血児(血液が流れ込む先の胎児)は多血症からうっ血性心不全、
浮腫、羊水過多等を生じ、供血児(血液の流れの元となる方の胎児)は
循環血液量の減少によって羊水過少になり、悪化すると発育不全を起こして
小さくなる。

このように両児の間で血液の流れが生じるので、「一方からもう一方へ輸血
しているようなものである」という考え方が病名の由来である。



<臨床像>
超音波検査で一児の羊水過多ともう一児の羊水過少を同時に認めた場合に診断
される。

供血児は腎不全、発育不全などの症状が代表的であるが、症例によって
異なる。

受血児の羊水過多による流産、早産のリスクが高い。

一般に保存的治療では胎児の予後は不良である。



<治療>
双胎間輸血症候群の標準的な治療法は連続的羊水除去術であるが,近年,
新しい胎児鏡下レーザー手術が提案され、欧米と日本において徐々に普及
しつつある。





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