血中ビタミンD濃度低いと間質性肺疾患リスク増

[血中ビタミンD濃度低いと間質性肺疾患リスク増]

(HealthDay News  2018年6月25日)


ビタミンDは骨の健康維持に欠かせない栄養素の1つだが、血中25(OH)
D濃度が低いと間質性肺疾患(ILD)を発症するリスクが高まる可能性のある
ことが、新たな研究で示された。

研究の詳細は「Journal of Nutrition」6月19日オンライン版に掲載された。


間質性肺疾患(ILD)とは肺に炎症や肺組織の線維化をもたらす疾患で、
米国では年間に約20万人がILDと診断されている。
ILDの原因はさまざまで、アスベスト(石綿)などの大気汚染物質や
ウイルス、細菌などの感染によるもの、自己免疫疾患であるもの、薬剤の
副作用として引き起こされるものなどがある。


米ジョンズ・ホプキンス大学の研究グループは、今回、米国の大規模な
コホート研究であるMESA(Multi-Ethnic Study of Atherosclerosis)研究に
参加し、ベースライン時に心血管疾患の既往がなく、血中25(OH)D濃度を
測定し、CT検査を実施した6,302人を対象に10年間以上追跡。
ベースライン時の血中25(OH)D濃度とILDの発症およびその後のILDの
進行との関連を調べた。
解析対象者の平均年齢は62.2歳で、女性が53%であった。

対象者を血中25(OH)D濃度で3群(不足:20ng/mL未満、20ng/mL以上
30ng/mL未満、充足:30ng/mL以上)で分けて解析した結果、ベースライン
時に血中25(OH)D濃度が充足していた群に比べて、不足していた群では
ベースライン時にILDの初期の徴候を示すリスクが高く、また、中央値で
4.3年間の追跡期間中にILDが進行するリスクも高いことが分かった。

さらに、ベースライン時における血中25(OH)D濃度の不足は、10年後の
ILD有病率の上昇とも関連していた。

これらの結果から、研究グループは「血中ビタミンD濃度が不足することは
ILDの発症や進行のリスク因子の1つである可能性が示唆された」と結論
づけている。


論文著者の一人で同大学心血管疾患予防センター副部長のErin Michos氏に
よると、これまでの研究で、活性型ビタミンDには抗炎症作用があり、
免疫系の制御に働くことが分かっている。

また、ビタミンDは喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)などの呼吸器疾患の
発症や進行にも重要な役割を担うことが報告されているが、同氏は「今回の
研究から、ビタミンDの血中濃度は肺組織の線維化が進むILDとも関連する
ことが示された」と指摘している。

今回の結果は、これらの因果関係を証明するものではないが、Michos氏らは
「肺の健康を保つには、十分な血中ビタミンD濃度を維持することが重要な
可能性が示された。今後は、ILDのリスク因子として、大気汚染物質や喫煙に
加えてビタミンD不足を加えるべきなのか、また、サプリメントの摂取や
日光浴などのビタミンD補充対策がIDLの予防や進行抑制に有効かどうかを
検討する必要がある」と話している。

なお、同氏らによれば、現時点でILDの根治療法は見つかっておらず、多くの
患者は診断から5年以内に死亡するという。



http://www.healthdayjapan.com/




No tags for this post.
カテゴリー: え栄養医学, は肺疾患,  肺炎 パーマリンク