アルツハイマー病にヘルペスウイルスが関与か

[アルツハイマー病にヘルペスウイルスが関与か]

(HealthDay News  2018年6月21日)


アルツハイマー病の発症に2種類のヒトヘルペスウイルス(HHV)が関与して
いる可能性を示した研究結果が「Neuron」6月21日オンライン版に発表
された。

研究を実施した米マウントサイナイ・アイカーン医科大学のJoel Dudley氏
らによると、アルツハイマー病患者の脳では、そうでない人の脳と比べて
ヒトヘルペスウイルス6A(HHV-6A)とヒトヘルペスウイルス7(HHV-7)が
約2倍に増加していることが分かったという。

また、これらのウイルスは、アルツハイマー病のリスクを高める遺伝子と
相互に作用することも示された。


HHV-6(HHV-6AとHHV-6B)やHHV-7は、ほとんどの人が主に乳幼児期に
感染する身近なウイルスで、特にHHV-6は乳児期の突発性発疹の原因となる
ことが知られている。

また、これらのウイルスは単純ヘルペスウイルスや水痘・帯状疱疹ウイルス、
エプスタイン・バー(EB)ウイルスなど他のヘルペスウイルスと同様に、
感染後には体内で休眠状態となり、その後、ある時点で再活性化する可能性が
ある。


同氏によれば、これらのウイルスは特に神経毒性が強く、アルツハイマー病
以外のさまざまな神経疾患との関連が認められているが、誰もが曝される
これらのウイルスの働きは十分に解明されていなかったという。

Dudley氏らは今回の研究で、まず、アルツハイマー病患者とアルツハイマー
病ではない対照群から死亡後に採取した600以上の脳組織を用いて遺伝子
解析を実施し、データを比較した。

その結果、HHV-6AとHHV-7の遺伝子はアルツハイマー病のリスクを高める
遺伝子の活性化あるいは抑制に働き、複雑に相互に影響し合っている可能性が
あることを突き止めた。


さらに、同氏らは米メイヨー・クリニックとラッシュ・アルツハイマー病
センターで採取した約800の脳組織を用いて遺伝子解析を実施した。
その結果、アルツハイマー病患者の脳ではHHV-6AとHHV-7が増加している
ことが明らかになり、最初の結果を再現できたとしている。

Dudley氏は「今回の結果は、アルツハイマー病の原因解明につながる
可能性があるほか、免疫系を標的とした新たな治療法の開発に向けた
足掛かりとなるだろう」と期待を示している。


専門家の一人で米アルツハイマー病協会のKeith Fargo氏も「アルツハイマー
病に細菌やウイルスが関与する可能性はこれまでにも指摘されてきたが、
今回の研究でその説の信頼性は高まった」と指摘。
「もしアルツハイマー病の発症にウイルスなどが関与しているのであれば、
抗ウイルス療法や免疫療法を新たに開発できるかもしれない」と話して
いるが、これらの関連についてはさらなる研究が必要だと付け加えている。


http://www.healthdayjapan.com/


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[関連ページ]

ヒトヘルペスウイルス(HHV)科 

ヘルペスウイルスは宿主を見限る 


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