受動喫煙で子の聴覚障害リスクが2.35倍に

[受動喫煙で子の聴覚障害リスクが2.35倍に]

(あなたの健康百科  2018年06月20日)


受動喫煙は子供にさまざまな悪影響を及ぼす。

京都大学大学院の川上浩司教授らの研究グループは、妊娠中の母親の喫煙や
出産後の受動喫煙が子供の聴覚障害リスクを上昇させることをPaediatr
Perinat Epidemiol(2018年6月5日オンライン版)に報告した。



<妊娠中の母親の喫煙と生後の受動喫煙で子供の10.3%に聴覚障害>
研究グループは、2004〜2010年に生まれた5万734人の子供の母親に
対して、喫煙や子供の受動喫煙の状況についてアンケートを行った。

その結果、約75%は母親の喫煙歴も生後の受動喫煙もなかったが、15.2%
(7,733人)の母親に妊娠前の喫煙歴があった。
3.8%(1,947人)の母親は妊娠中も喫煙していた。

母親の喫煙歴はないが、生後に受動喫煙を受けていたのは3.9%(1,996人)
で、妊娠前の母親の喫煙歴があり、生後に受動喫煙を受けていたのは1.6%
(829人)であった。
妊娠中の母親の喫煙に加えて生後の受動喫煙を受けていた例も0.9%(479人)
存在した。

3歳の時点で4.6%の子供に聴覚障害があった。

母親の喫煙歴と受動喫煙の両方がない子供の聴覚障害の割合は4.1%で
あったが、母親が妊娠中に喫煙し、生後の受動喫煙を受けていた子供では
10.3%と2倍以上だった。

子供が聴覚障害になる危険性は、母親が妊娠前に喫煙していた場合は1.26倍、
生後に受動喫煙を受けていた場合は1.3倍、母親の妊娠前の喫煙と生後の
受動喫煙がある場合は1.62倍、母親が妊娠中に喫煙していた場合は1.68倍に
増大した。
母親が妊娠中に喫煙し、さらに生後に受動喫煙を受けていた場合は2.35倍に
増大した。

また、危険性は妊娠中の母親の喫煙本数が増えるほど高まる。
喫煙本数が1日10本未満の場合は1.63倍、10本以上の場合は1.9倍であった。


研究グループは「妊娠中の母親の喫煙と出産後の受動喫煙は、子供の聴覚
障害の危険性を高めることが明らかとなった。これらを避けることで、子供の
聴覚障害の危険性を下げる可能性がある」と結論した。

また、生後に受動喫煙を受けるよりも、母親が妊娠中に喫煙していた方が
危険性が高かった点について「胎児は母親よりも体内のニコチン濃度が高く
なることに加え、発達中の胎児の蝸牛はニコチンや他の化合物の毒性の影響を
受けやすいのかもしれない」と付け加えた。



http://kenko100.jp/articles/180620004598/#gsc.tab=0




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