徹夜が危ない 認知症のリスクにも

[徹夜が危ない!? 認知症のリスクにも]

(あなたの健康百科  2018年06月19日)


アルツハイマー病の原因は明らかにされていないが、患者の多くは脳内に
アミロイドβが蓄積されており、アルツハイマー病の発症にはアミロイドβが
大きく関わっていると考えられている。

このほど、米国立アルコール乱用・依存症研究所などの研究グループは、
睡眠とアミロイドβの蓄積との関連を調べるため、健康人を対象に調査を
実施。

その結果、たった一晩の徹夜であっても、睡眠不足により脳内のアミロイド
βが増加することが分かったと報告した。

詳細は、4月24日発行の「Proc Natl Acad Sci USA」に掲載されている。



<徹夜明け、アミロイドβが5%上昇>
脳には、睡眠中に脳細胞内の老廃物を排出する機能が備わっていると考え
られている。

過去の研究から、短期間の睡眠不足によりマウスの組織液内のアミロイドβ
値が上昇することが示されている。

しかし、ヒトの脳内でのアミロイドβ蓄積に及ぼす影響については検証されて
いない。

そこで研究グループは、22~72歳の健康な男女20人(平均年齢39.8歳)を
対象に、アミロイドPET検査により、前夜の睡眠が十分な状態(ベース
ライン)と徹夜明けの寝不足な状態での脳内のアミロイドβ量を測定した。
PET検査にはフロルベタベンが用いられた。

その結果、20人中19人で、徹夜明けのアミロイドβ量がベースライン時に
比べ、右側の海馬および視床で明らかに増加していた。
この傾向は、年齢や性に関係なく見られた。

アミロイドβの蓄積が確認された右海馬および視床は、特にアルツハイマー
病の初期段階で傷害されやすい領域である。

ちなみに、認知症の前段階である軽度認知障害とアルツハイマー病を有する人
では、健康な高齢者と比較して、脳内のアミロイドβ量がそれぞれ21%、
43%増加しているとの報告がある。

しかし、今回観察された一晩の徹夜によるアミロイドβ量の増加は5%
だった。

また、脳内アミロイドβ量の増加は、自己申告で評価した気分の変化と関連
していた。
アミロイドβ量が多いと、疲れや不安、いらいら感が強まり、反対に友好的な
感情や幸福感などが弱まる傾向が示された。


今回の結果について、研究グループは「たった一晩徹夜しただけでも、脳内の
アミロイドβ量が局所的に増加することが示された。このアミロイドβの
蓄積は、睡眠中に活発化する老廃物排出機能の欠如によるものと解釈して
いる」とコメント。

ただし「われわれの知見は、睡眠不足に伴うアミロイドβ蓄積のメカニズムを
解明するものではない」とし、「今後、さらに研究を重ねていきたい」と展望
した。



http://kenko100.jp/articles/180619004572/




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