歯はどこからなくなる

[歯はどこからなくなる?]

(家庭の医学  2018年6月4日)


<奥歯のほうが抜けやすい>
高齢になっても健康でいるためには、自分の歯で食べられることが重要だと
いいます。
80歳で自分の歯を20本保つことを目標とした「8020運動」。
1989年のスタート時、達成率は7%ほどでしたが、現在は51.2%です。
今一度、歯の喪失を防ぐ方法を考えてみましょう。


前歯が抜けると、どうしても目立ってしまいます。
その印象のせいか、歯が抜けるのは前歯からと思いがちかもしれません。

2005年の厚生労働省歯科疾患実態調査の結果によると、奥歯から抜けやすい
ことが明らかとなっています。

また、上あごよりも下あごのほうが失われやすいこともわかっています。


食べ物を咀嚼するときは、前歯で噛み切り、奥歯でしっかりとすりつぶし
ます。

しかし、奥歯は歯ブラシが届きにくく、みがき残しも多い部分。
むし歯や歯周病になりやすいため、抜けやすいと考えられます。

奥歯が失われると、前方の歯ですりつぶさなければなりません。
しかし、奥歯とは異なり噛み合わせる力が弱いため、大きな負担がかかって
しまいます。
その結果、ぐらつきが生じ、その歯も抜けやすくなってしまいます。

このような悪循環に陥らないためにも、奥歯のケアは非常に重要です。

なお、奥歯でもとくに失われやすいのは、治療していないむし歯、歯周病の
進んだ歯、部分義歯の針金がかかっている歯、クラウン(冠)がかぶせられた
歯であることも示されています。

また、同年に行われた全国抜歯原因調査の結果によると、歯が失われる原因で
多かったのは、歯周病とむし歯でした。
この2つで7割以上を占めています。

残りは、その他(親不知の抜歯など)、破折、矯正です。

なお、破折はむし歯に関連するものが多くを占めています。

抜歯の原因を年齢別にみると、中高年では歯周病と破折が多く、若い世代で
多いのは親不知と矯正による抜歯でした。

むし歯はすべての年齢層で多いことがわかっています。


歯を失わないためには、日ごろの歯みがきを徹底するとともに、歯科医院での
定期的なメンテナンスを受けるようにしてください。


近年では、ストレス社会を反映してか、歯ぎしりや食いしばりによって、
歯根にひびが入ったり割れたりするケースも増えています。
歯根まで折れてしまうと治療法もなく、抜歯するしか方法がないのが現状
です。
歯ぎしりや食いしばりは、マウスピースなどで緩和する方法もあるので、
歯科医に相談してみるとよいでしょう。


(監修:松下歯科医院院長 松下和夫)


https://sp.kateinoigaku.ne.jp/kiji/125247/




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